マセラティがライバルより先にエンジンやめる訳 創業110周年「フォルゴーレ」の名でBEVを投入

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現在マセラティは、ICE(純粋な内燃機関)とマイルドハイブリッドという2つのパワートレインを採用している。フェラーリとの共同開発によるツインターボV8とV6。そして、新世代の内製ツインターボV6「ネットゥーノ」が、ICEのバリエーションだ。

さらに、従来のV6ディーゼルの後継である「eブースター」と称した48Vコンポーネントを、4気筒2.0リッターエンジンと組み合わせたマイルドハイブリッドモデルが、ラインナップされている。

ちなみにフェラーリとの共同開発エンジンに関しては、その供給契約の終了がすでにアナウンスされているが、現行のクアトロポルテ、ギブリ、レヴァンテがカタログに載っているうちは生産が続けられるという。V8モデルを望むマセラティスタにとっては、今がラストチャンスだ。木村氏は次のように語る。

筆者のインタビューに答える木村氏(筆者撮影)

「販売戦略も大きく変化しました。今は、以前のように販売数量の拡大をひたすら追うのではなく、売り上げと利益の確保を目標とする戦略となっています。MC20の導入や、MC20と同じフラッグシップのエンジン『ネットゥーノ』を搭載するグレカーレ・トロフェオといった商品力の高い、ハイプライスなモデルの導入は、その流れへの大きな追い風となります。さらにユーザーの好みに応じたカスタマイゼーション・プログラム『フォーリセリエ』の本格導入もこれからですから、さらに伸びしろがあります」

「フォルゴーレ」の名でBEV展開

2023年は、マセラティにとってエポックメイキングな年となるはずだ。というのも、創業110周年を控えた老舗スポーツカーメーカー史上、初のBEVが登場するからだ。ダヴィデ・グラッソCEOが掲げたリブランディングプランの大きな目玉となるのが、「フォルゴーレ」と称すBEV展開である。

このフォルゴーレはマセラティの新しいサブブランドであり、2023年に正式デビューを飾る新型グラントゥーリズモがトップバッターとして登場したあと、グレカーレのBEVバージョンも同年に発表される予定だ。

新型グラントゥーリズモ・フォルゴーレ

新型グラントゥーリズモ・フォルゴーレは最高出力760ps、0-100km/h加速は3秒を切るというハイパフォーマンスでありながら、ライバルをしのぐ航続距離を誇るという。ZFとの共同開発による800Vシステムを採用した3モーターのAWD仕様となり、ハイパワーチャージングにも対応する最新スペックだ。

次ページ2030年以降「すべてをBEVとする」と宣言
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