マセラティがライバルより先にエンジンやめる訳 創業110周年「フォルゴーレ」の名でBEVを投入

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そう、フォーミュラEへの参戦、そして「MC20 Project 24」や「MC20 GT2」というサーキット専用モデルの開発などが相次いで発表され、その拠点となるレース部門「マセラティ・コルサ」の復活も宣言されたのだ。これはマセラティスタにとって、うれしいニュースであった。

MC20 Project 24(写真:Maserati)

マセラティは、故セルジオ・マルキオンネによるマネージメント時代に、ステランティスの前身であるFCAグループ内で、アルファロメオと同一のグループに置かれた。そこでは、販売台数を大幅に拡大する路線へ。全世界で7万5000台という、それまでとは桁違いの年間販売台数の目標値が設定されたのだった。

この戦略から生まれたのが、激戦区であるEセグメントに初参入したギブリと、ブランド初のSUVとなったレヴァンテだ。

レヴァンテ FTributo Special Edition(写真:Maserati)

この拡大化戦略は一定の成功を収め、2017年には5万台を超える年間販売台数を達成したものの、ハイパフォーマンスモデルの開発がさまざまな理由で遅れ、スポーツカーメーカーとしてのブランドイメージが薄れてしまったのも事実だった。

ハイパフォーマンスカーのマセラティ

2019年からマセラティのCEOとなったダヴィデ・グラッソは、その戦略を大きく見直す。まず、開発中のプロジェクト群から、2座ミッドマウントエンジンカーであるMC20をトッププライオリティとして開発を急いだのだ。“ハイパフォーマンスカーのマセラティ復活”というテーマで、マセラティのリブランディングに着手したのである。

ダヴィデ・グラッソCEOとMC20(筆者撮影)

続いてMC20とスタイリングテーマをともにするグレカーレの発表だ。マセラティの重要なDNAであるGTモデル(ハイパフォーマンスのスポーツカーでありながら、客室の広さなど充分な実用性を特徴とするモデル)の新型「グラントゥーリズモ」「グランカブリオ」と、矢継ぎ早にニューモデルの投入を進めている。

2025年に向けては新型クアトロポルテ、新型レヴァンテの導入もアナウンスされており、ミッドマウントエンジンモデル、クーペ&カブリオレ、そして2モデルのSUV、クアトロポルテ(セダン)というフル・ラインナップが完成する。

クアトロポルテ Trofeo(写真:Maserati)

4ドアモデルに関しては、ショートホイールベースのギブリとロングホイールベースのクアトロポルテという現行の展開が整理され、その中間的なサイズとなる新型クアトロポルテが、スポーツセダンのニーズをカバーすることになるようだ。現行ギブリはラインナップから外れ、エントリーモデルとしての役割は前述のようにグレカーレが担う。

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