2023年、世界の株式が一段と厳しくなる10の理由 株は長い「冬の時代」を迎えたかもしれない

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では、実体経済はどうなのか。もちろん、悪い。景気は急降下。不況へまっしぐらである。それなら、利下げとなるのではないか、と期待するのが市場関係者だが、それは間違いだ。

FEDが景気よりもインフレ退治を優先するワケ

なぜなら、FOMCのすべてのメンバーも、そしてジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長自身も明確に言っているように、景気よりもインフレ退治のほうが重要なのだ。

不況は今、一時のこと。しかし、インフレ期待がいったん高まってしまうと、定着し、長期にわたって実体経済の活動を阻害する。高インフレはインフレ率が高いことにより直接生活にダメージももたらすが、高い水準にあると、インフレ率は安定化せず変動は大きくなる。その場合に、将来への投資のリスクが高くなり、投資は縮小する。

さらに、金融機関などの貸し手は、最悪の場合に備えて、高い金利でしか融資を行わない。経済活動は縮小する。インフレ期待が一度高まると、このような縮小均衡に陥ってしまう。

だから、それだけはなんとしても避けるために、FEDは足元の景気がどうなろうと、インフレ抑制を最優先に、このようなインフレの恐怖が起きている現在では、徹底的に、やりすぎと言われるまでにインフレを抑制するため、金融引き締めを行う。だから、不況になっても利下げは行われない。

したがって、景気は最悪、株式市場は実体経済、企業業績からしてもいいことはまったくない。これが第3の理由だ。

「いや、たとえ2023年が駄目でも、インフレが収まったことがはっきりする2024年以降は、株式市場は回復するのではないか。それを先取りして、目の利く投資家は2023年後半から少しずつ動き始めるのではないか。逆に言えば、2023年はいいことはないかもしれないが、長期的には仕込みのチャンスになるのではないか」

そういう議論になるだろうが、これが2023年の株の冬眠をもたらす第4の理由である。そういう淡い期待が下手に現れると、株価はいったん上昇するかもしれないが、それはさらなる下落をもたらすことになると思われるからだ。

なぜなら、株価反転の議論は、強烈な2022年の利上げが株価下落の理由なのだから、利下げになれば株価は元に戻る、V字回復になるはずだという期待に基づいている。だが、これは間違いだからだ。

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