"昔話ばかりする人"が実は「老けない」という衝撃 「脳トレ」より効果がある「ドーパミン」の作り方

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脳の若さを保つ秘訣はまだまだあります。それは、脳の前頭葉を活性化して「ドーパミン」をたくさん出すことです。ドーパミンとは脳内の神経伝達物質で、うれしいことや楽しいことがあると分泌されることから、「脳内報酬」とも呼ばれ、さらにはやる気や幸福感を高めたり、ポジティブになるなどの効用もあります。

このドーパミン、実は私たちの日常生活のなかで出る機会はたくさんあります。それは、生まれて初めてのことを経験したときや、ドキドキわくわくしたり、感動したりしたとき。つまり、好奇心が刺激されると出ることがわかっています。子どもの脳が元気なのは、こうした好奇心をくすぐられる初めての体験が多く、ドーパミンが出る機会が多いからです。

ところが、大人になるにつれて知識が増え経験値が高くなるぶん、脳がさまざまな物事に動じにくくなってしまうのです。また、新しいことをするときや今までできなかったことができるようになったときにもドーパミンが出ます。これは、先に述べたスーパーエイジャーの研究結果が裏付けていますが、幸いなことに新しいことにチャレンジするのに年齢制限はありません。

私も、52歳のときに初めて東京マラソンに挑戦しましたが、完走できた瞬間というのは間違いなくドーパミンが出ていたはず。脳のたくましさとは、ドーパミンが放出される前にやっていた行動の回路が強化されることにあるのです。人間の脳は、いくつになっても完成形などありません。そして、脳には皆さんが想像する以上の底力があるのです。

何歳になっても、自分にとって新しい経験に興味を持って向き合うことで、脳はいつまでも成長し続けることができるからです。

「昔話」をすると、脳は若返る

一方で、「新しい経験」ではなくても、シニアの方が昔の思い出話をしたり、若いときの話をしたりしているときに、とてもイキイキしているのを見かけます。これは、一般にいわれる「回想法」というもので、回想法とはアメリカの精神科医のロバート・バトラーによって確立された心理療法です。

昔の懐かしい写真や、昔使っていた馴染み深いものなどに触れながら、そのときの経験や思い出を語り合うことで精神的な安定感が得られ、認知機能にもよい影響を与えるとされています。

現在、回想法は認知症の症状に対する、薬を使わない療法として活用されています。自分の過去を話すことで、記憶をより鮮明に思い出すことができるためです。

私たちの記憶というのは、感情と深く結びついています。これを脳科学的にいえば、シニアの皆さんが昔を思い出すことは、脳機能の活性化に有用だということです。

昔の記憶がよみがえるというのは、情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つ扁桃体が活性化し、さらには、前頭前野の血流量を増加させ、モチベーションの向上といった効果が期待できるといわれています。前頭前野は脳全体に指示を出し、脳のほかの部分を働かせるといった機能も持っているため、ここを刺激してあげることが脳全体の活性化にもつながります。

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