"昔話ばかりする人"が実は「老けない」という衝撃 「脳トレ」より効果がある「ドーパミン」の作り方

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有名な研究をご紹介すると、ハーバード大学関連医療機関のなかでも代表的な存在といわれるマサチューセッツ総合病院の神経科医、ブラッドフォード・ディッカーソンは、「スーパーエイジャー」の研究をおこなっています。

スーパーエイジャーとは、70歳以上のシニアのなかでも、同世代と比較すると圧倒的に高い認知能力を持つ人のことを指します。ときには20代、30代の若者に匹敵する脳の働きを持つともいわれています。

その理由のひとつとして、ディッカーソンは、常に新しいことへチャレンジすることを挙げています。これは脳科学的な視点からも理にかなっており、新しいことへのチャレンジが脳の萎縮を少なくするので、思考力、記憶力、判断力など脳の重要な働きが衰えず、たとえ年齢を重ねてもいつまでも若々しい脳の状態を保つことができるからです。

「脳トレ」よりも効果がある“秘策”

近年、脳の老化を防ぐべく、「脳トレ」と呼ばれるトレーニングメソッドがシニアの間でブームになっているようですが、残念ながら「脳トレ」は認知症予防という観点からはほとんど意味がないということが、最新の脳科学の研究で明らかになっています。

カナダ・ウェスタン大学の研究チームの最新研究では、脳トレゲームが記憶や言語能力などをどのくらい向上させているかを調査したところ、それらの能力は脳トレゲームをしない人と変わらないことが判明したといいます。

また、クロスワードや数独といったパズルを解いても知力低下は避けられないかもしれないと、イギリス発の最新研究が示唆しています。つまり、与えられた課題のトレーニングにはなっても、脳全体のトレーニングにはまったくなっていないことが確認されたというわけです。たしかに、脳トレが認知症を予防すると証明している研究を私は知りませんので、断言しておきましょう。

「脳トレをする必要は、まったくありません!」

実際、私の周りにいるスーパーエイジャーといえる元気で活発なシニアの方々を見ていても、脳トレをしている様子はまったくありません。もちろん、脳の専門家である私でさえ、これまでの人生で一度も脳トレをやったことはありません。

では、いったいどうやって若々しい脳を手に入れればいいのか。私の経験上、もっとも効果が高いと感じられるのは、次の3つです。

1. 社会や人とつながる
2. 常にお金の出入りがある
3. ストレスのない生活習慣

どんなに長生きしても、脳の健康を維持できなければ、誰もが例外なく人生の質を保つことはできません。脳が老化し、認知症になってしまえば、せっかく楽しい体験をしても記憶に残りません。それはもったいないことです。

そこで、いつまでも脳を若々しく保つために、この3つのポイントを意識することで、たとえ何歳になっても脳の若さを持続できるのです。

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