「年末年始の発熱」で慌てる人の“3つの間違い" 「抗原検査で陰性」ほど信用できないものはない

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ところが、上記の数字は、ワクチンを打っていない人たちだけを対象にした場合だ。別の研究でワクチンを3回以上接種した人たちに投与した場合を調べたところ、入院または死亡の予防効果は、44%にとどまった。

しかも、未投与で重症化・死亡率が0.97%なのが、0.55%になります、というレベルの話だ。200人に投与して入院または死亡が2人から1人に減る勘定だから、薬剤費をラゲブリオの薬価の9万円程度とすると、入院または死亡を1人減らすのに1800万円かかることになる。

また、11月24日には塩野議製薬の「ゾコーバ」が軽症者にも使える初の国産新型コロナ治療薬として緊急承認され、話題となった。しかし、治癒までの期間が8日から7日に短縮されることが、それほど大きなメリットと言えるのか。大いに物議を醸している。

そもそも死亡率は低い

そもそも基礎疾患のない若者なら重症化リスクは低い。厚労省によれば60歳未満全体でも(基礎疾患を有する人を含めても)、2022年7〜8月の新型コロナの重症化率は0.01%、死亡率は0.00%だった。季節性インフルエンザでさえ、60歳未満の重症化率0.03%、死亡率0.01%だ。

多くの患者さんは、解熱鎮痛剤や、咳、鼻水などの症状を和らげる対症療法薬、あるいは葛根湯などの漢方薬を、症状や体質に合わせて適切に組み合わせれば用が足りる。大半は市販の風邪薬(総合感冒薬)でも間に合うくらいだ。

それが日々診療にあたる私の実感だし、発熱外来を設置し、新型コロナ診療に真摯に取り組んできた医師なら、私と大差ない意見に落ち着くのではないだろうか。

「あの医者は抗ウイルス薬を出してくれない」と文句が出るかもしれない。それでもこの年末年始に、手に入るまで医療機関をハシゴし続けるのは、お勧めしない。その元気があるなら、抗ウイルス薬はますます要らないはずだから。

間違い3:長引く発熱で受診せず、長引く咳で受診する

もちろん発症した段階で、

●65歳以上、基礎疾患がある、妊婦、子どものいずれかで、風邪に似た症状がある

●高熱が続く、息苦しい(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)等つらい症状がある

のどちらかの場合は、オンラインでもいいので発熱外来を受診していただきたい。

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