所有してわかる「サクラ/eKクロスEV」受賞の意味 黄色ナンバーを誇れる軽EVが誕生した背景とは

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デイズ
eKワゴンとともに誕生した軽自動車のデイズ(写真:日産自動車)

2代目デイズとeKワゴン開発の時点で、軽EVを復活させることが決まっていた。そこで、デイズ/ルークス、eKワゴン/eKクロス/eKクロススペースの車体骨格は、床下にリチウムイオンバッテリーを車載することを前提に開発された。これにより、プラットフォームに関してはEV専用での原価計算ではなく、日産自動車と三菱自動車の両社で販売される軽自動車全体の数として、EV原価を見積もることができるようになった。

バッテリー
サクラ/eKクロスEVで採用されているバッテリー(写真:日産自動車)

さらにEVのなかでもっとも原価に影響を及ぼすとされるリチウムイオンバッテリーは、リーフの半分をそのまま使うことにより、リーフを含めたバッテリー原価の一部に軽EV用も含めることができた。ほかにもデイズやeKワゴンなどで運転支援機能を採用することにより、先進装備においても、量産効果を手に入れられたといえる。

生産では三菱自動車の経験が活きる

ミニキャブMIEV
三菱自動車が販売している軽商用EVのミニキャブMiEV(写真:三菱自動車)

生産の面でも、両社の軽自動車を生産する三菱自動車の岡山県・水島工場では、i-MiEVや「ミニキャブMiEV」をエンジン車と混流して製造することを十数年続けてきた経験がある。EVとエンジン車では、バッテリーや燃料タンクなど、異なる部品を同じ組み付け時間内に作業しなければならないので、作業人員の配置や工程のやりくり、取り付けのための補助器具などを含め、創意工夫がいる。水島工場でのi-MiEVなどでの経験をもとに、サクラとeKクロスEVの作業工程の改良は、最小限にとどめられ、ここでも原価低減効果を見逃すことはできない。

ホンダやスズキからも軽EVが数年のうちに登場すると予想されるが、日産自動車と三菱自動車のように共通化を含め総合的な原価を詰められなければ、サクラとeKクロスEVとの価格競争力の点で苦戦を強いられるかもしれない。

三菱i-MiEVが車両価格で苦戦したことからも、上記の原価低減策は非常に重要だ。そのうえで、商品性も高いのが、サクラとeKクロスEVの大きな魅力となっている。

外観や内装は、サクラとeKクロスEVで狙いが異なる。

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