今年をいい年にしたい人に伝えたい「3つの心得」 3800人看取った医師が考える自分らしい生き方

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ホスピス医として人生の最終段階の医療に携わり、3800人を超える患者さんたちをお見送りしてきて、私には一つ、気が付いたことがあります。

それは、「死」を前にすると、人は必ず自分の人生を振り返るということです。そして、自分の人生で誇れること、後悔していることなどを少しずつ整理し、最終的には多くの方が、「よい人生だった」と納得して、穏やかにこの世を去っていかれます。

日々忙しく過ごしていると、人はなかなか、自分の生き方を見つめ直したり、自分にとって本当に大切なものに気づいたりすることができません。

でも、もし、あと1年で人生が終わりを告げるとしたら……。私が関わってきた患者さん同様、きっと多くの方が、自分の人生に思いをはせるのではないでしょうか。

人生には自分のペースがある

「人生がもしあと1年で終わるとしたら?」と自分に問いかけたとき、「限られた時間で何をしたいか」を考える方は多いでしょう。

冒頭で挙げたように、さまざまな「やりたいこと」が心に浮かぶはずです。しかし、一方で、「何もやりたいことがない」という方もいます。

私がこれまで関わらせていただいた患者さんの中にも、「何もやりたいことはない」「早くお迎えがきてほしい」という方が、少なからずいらっしゃいました。

理由はそれぞれで、「やりたいことはだいたいやってきたから、思い残すことはない」という方もいれば、「もともと何事に対しても興味が薄く、物事に執着しない」という方、「やりたいことを我慢し続けてきて、『何かをやりたい』いう気持ち自体がなくなってしまった」という方もいらっしゃいました。

この社会では、人はしばしば「やりたいことは何か」を尋ねられます。子どものころは、大人たちから将来の夢を聞かれ、就職する際には、会社で何をしたいかを聞かれ、定年を迎えると、第二の人生で何をしたいかを聞かれます。

そのため、私たちはいつの間にか、「やりたいことがあるのは当たり前のことだ」「夢や目標を持つべきだ」と思い込んでしまっています。

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