今年をいい年にしたい人に伝えたい「3つの心得」 3800人看取った医師が考える自分らしい生き方

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しかし、この価値観はときに人を苦しめます。やりたいことがわからないとき、夢や目標が持てないとき、「自分はつまらない人間だ」「自分には価値がない」と思ってしまいがちだからです。

たとえ今、あなたにやりたいことが何もなかったとしても、焦ったり、自分を責めたりする必要はありません。あなたにはあなたの生き方があり、人生のペースがあります。夢や目標を持っている人と比べる必要はないのです。

ただ、「生きる指針がほしい」「そのためにも、やりたいことを見つけたい」と思うのであれば、「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」と想像しつつ、過去を振り返ってみるのもいいかもしれません。

子どものころ、純粋に楽しかったことはなかったか、「こういうことをして生きていきたい」と思ったことはなかったか思い出してみます。

もしかしたら、成長の過程で忘れたり、あきらめたり、我慢させられたりしたものの中に、本当にやりたいこと、大事にしたいことを発見できるかもしれません。

「人生があと1年で終わる」と考えれば、それまでの価値観が崩れ、自分を縛っていた固定観念やしがらみから解き放たれ、見える景色が変わってきます。

自分のためにやる必要があるか考える

「やりたい」と思っていたことでも、予定に入れ、時間が経つと、それがいつしか「しなければならないこと」になってしまいます。そして「しなければならないこと」がたまっていくと、いつの間にか自分のためではなく、周りの人のために1年を過ごすことになります。

以前私が出会った、50代の女性の患者さんもそんな一人でした。元気なとき、彼女は人材派遣の会社に勤め、いくつもの大きなプロジェクトを任されながら、一人で認知症のお母さんの介護をしていました。

ところが、自分自身にがんが見つかり、少しずつ身体の自由がきかなくなっていったのです。「私は今まで、お母さんのために生きてきました。自分が病気になって一番悔しいのは、お母さんの介護ができなくなったことです」とこの患者さんは口癖のように言い、「お母さんの介護をしなければならないのに」「自分が情けない」と苦しみ続けていました。

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