今年をいい年にしたい人に伝えたい「3つの心得」 3800人看取った医師が考える自分らしい生き方
ある日、私はこの患者さんに問いかけました。
「これからどんなことがあれば、お母さんは、穏やかな気持ちで日々を過ごすことができると思いますか?」
この問いに対し、彼女は何日も考え、「お母さんの介護をプロの手に任せること」という答えにたどりつきました。長年抱えていた、「お母さんの介護を、自分がしなければならない」という思いを手放したのです。
「やりたいことがなくても焦らない」
一方で、この患者さんが最後まで手放さなかった「しなければならないこと」もありました。それは、お母さんと一緒の写真を撮ることです。
「お母さんとの写真をどうしても撮りたい」と相談されたのは、症状がかなり進んで、あと何日生きられるかわからないというときでしたが、撮影は無事終了し、その5日後に患者さんは亡くなりました。
とても大切な「しなければならないこと」を実現させられた喜びからでしょうか。写真の中の彼女は、とても穏やかで美しい笑顔を浮かべています。
「しなければならないこと」に追われすぎて、自分の人生を楽しめていない人や、「~をしなければ」という気持ちが、自分でも辛いと感じている人は、1つひとつの「しなければならないこと」について、「あと1年で人生が終わるとしたら、自分のために、これをやる必要はあるだろうか?」と考えてみるのも、いいかもしれません。
「人生があと1年で終わる」と考えると、よけいなものがそぎ落とされ、今の自分にとって本当に大事なことだけが見えてきます。
ただ、元気に生きているとき、私たちはなかなか、その大切なものに気づくことができません。人生の終わりが近づいてきたとき、初めて、それが何であるかを知ることも多いのです。
ですから、これからの1年を、少しでも悔いなく生きるために、自分らしく生きるために、「人生に『締め切り』を設けてみる」、「やりたいことがなくても焦らない」「自分のための1年を過ごす」ことをお勧めします。そうすればきっと、これからの1年がすばらしいものになり、自分らしく生きられるはずです。
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