そして第1派閥を率いる安倍さんが、岸田首相の「ライバル兼相談相手」となることで、2つの焦点に調和がもたらされてきた。
安倍さんが党内保守勢力の声を代表し、官邸に要求を突きつけるけど、岸田首相が決定を下したら、今度は仲間をなだめる側に回る、という役割分担である。政権発足当初はそれがうまく機能していた。岸田内閣の支持率も一貫して5割を超えていたのである。
7月8日に安倍さんが凶弾に倒れたことで、自民党の「楕円」は片肺飛行になってしまった。「安倍ファン」の右の支持者は岸田離れしてしまい、「安倍に好き勝手をさせないために」岸田さんを応援していた左の支持者も離れてしまった。だから内閣支持率は低下したが、自民党の支持率はそれほど下がっていない。まして野党への支持も広がらない。
そして岸田さんは、誰に相談したらいいかわからなくなった。安倍派の後継者はなかなか決まりそうにないし、決まったとしても保守派を統合するような強いリーダーにはならないだろう。「サミット花道論」で岸田さんが政権の座を降りたとしても、この構図は変わらない。つまり2023年の国内政治は、安定が望み薄ということになる。
次の日銀総裁は一体いつ発表されるのか?
2023年前半にはもうひとつ、日銀総裁人事というマーケットの関心事もある。
1月には通常国会が召集される。今回の場合、令和4年度第2次補正予算がすでに成立しているので、タイミングは下旬(27日頃?)となる公算が高い。G7広島サミットによる中断もあるので、政府・与党としてはなるべく会期を後ろにずらしたいのである。
ただし急がなければならないのは、国会同意人事となる次期日銀執行部の人選である。それというのも、黒田総裁の任期となる4月8日の前に、2人の副総裁の任期が3月19日に切れてしまうのだ。
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