年末に"手間いらず"豪華「すき焼き」美味に作る技 欠点である酸味の足りなさは「トマト」で補う

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溶き卵につけるのが昔ながらの食べ方ですが、絶対に必要というわけではないので好みで選んでください。具材を加えて煮ながら食べていきます。

牛肉を卵につけて食べる
卵は3分ほど茹でて温めておくといいでしょう

トマトから水分が出るので、味付けが薄いと感じられたら割り下を煮詰めてください。味が濃くなります。逆に煮詰めすぎて塩気が強く感じられたら、水で薄めましょう。すき焼きはおおらかな料理。よき加減で味わえばいいのです。

すき焼き
火を強めるときは牛肉を引き上げてください

すき焼きは単純に焼くよりも赤身から生じる香りが抑えられるので、脂のおいしさが味わえます。味わうためのポイントはしっかり噛むこと。和牛肉はやわらかいのですぐに飲み込んでしまいたくなりますが、噛むことで和牛香を感じることができます。

この和牛香、生成機構についてはまだ完全には解明されておらず、研究が続けられています。トマトの酸味で和牛の味わいがすっきりと引き立つトマトすき焼き。和牛はやや高価ですが、最近では牛肉全体の価格が上がっている関係で、国産牛との価格差が減りつつあります。年末年始くらいはいい牛肉を買うのもいいでしょう。おいしいものを食べるためには手間と時間をかけるか、コストをかけるかのどちらかです。

いい材料を買えば結果的に調理時間が短くなり、経済的かもしれません。ふるさと納税の返礼品として受け取った和牛が冷凍庫に眠っているという人もぜひ挑戦してみてください。

(写真はすべて筆者撮影)

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樋口 直哉 作家・料理家

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ひぐち・なおや / Naoya Higuchi

1981年東京都生まれ。服部栄養専門学校卒業。2005年『さよなら アメリカ』で第48回群像新人文学賞を受賞しデビュー。著書に小説『スープの国のお姫様』(小学館)、ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)、『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)、『最高のおにぎりの作り方』(KADOKAWA)などがある。

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