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政治・経済・投資 #ウクライナ侵攻、危機の本質

2023年初プーチンの「起死回生」大反攻が始まるか 「勝利なし」で追い込まれた大統領のあがき

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  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
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この死守命令の背景には、もう1つの事情がある。2022年9月のハリキウ州完全奪還、同11月の南部要衝ヘルソン市の奪還と次々に占領地域を奪還し、波に乗っていたウクライナ軍の反攻作戦で「好事魔多し」を地で行く誤算が起きたのだ。

ヘルソン市を含め、ウクライナ軍がドニプロ川西岸から撤退させたロシア軍部隊約3万5000人のうち、精鋭部隊も含め2万人がバフムトに転戦し、ロシア軍包囲部隊が大幅に戦力を強化したという予想外の展開となったのだ。

ワグネル壊滅を目指すウクライナ軍

なぜ、こういう事態となったのか。ウクライナ軍がヘルソンに立てこもり、その後撤退をしたロシア軍に対し、徹底的な掃討作戦を行わなかったからだ。このためロシア軍はまんまと脱出に成功した。ウクライナ軍最高幹部も「これはミスだった。もっとロシア軍を徹底的にたたくべきだった」と悔やんでいる。

ウクライナ軍はこうした反省もあって、バフムトでのロシア軍撃退に積極的だ。ここでロシア軍を撃退すれば、侵攻したロシア軍全体の士気が大きな打撃を受け、他の戦線でもロシア軍が総崩れになる可能性もあるとみている。何しろ、約1500キロメートルに及ぶ戦線全体でロシア軍が攻勢に出ているのは、バフムトを含めた約60キロメートルの一帯のみだ。

ウクライナ軍がさらに狙っているのは、ワグネル部隊への壊滅的打撃だ。2022年12月上旬、ウクライナ軍は高機動ロケット砲システム「HIMARS」(ハイマース)でルハンシク州スヴァトヴェにあるワグネル部隊の宿舎に砲撃を加えた。

前線の戦闘部隊ではなく、後方施設を狙うのは、重要な作戦を展開する際のウクライナ軍の常套戦術だ。ワグネル部隊が実際に壊滅的打撃を受ければ、侵攻作戦全体にとって致命的打撃になることは言うまでもないだろう。

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【バフムト攻防戦の行方】

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