日本悩ます「エンドレスな円安」にはならない根拠 2023年も円安・物価高は続いてしまうのか
円安はあくまで市場のバランスを反映したものだ。一方的に崩れていくパターンは新興国のローカルカレンシーにはあっても、主要通貨である円では考えられない。なぜなら、FRBは5大中央銀行(他の4行は日本銀行、スイス国立銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行)の間で相互にスワップを結んでいるからだ。
「世界5大中央銀行」が互いを支えている仕組み
主要国にとって主要通貨の一方的下落はマイナス要素が強いため、自国通貨が大幅に下落したらただちに防衛に入る。日本であればスワップを使って米ドルを直接的に借り出してしまえば、円安防衛はできる仕組みになっている。
ヨーロッパも同様だ。ブレトンウッズ体制で米ドルが英ポンドに代わって基軸通貨となり、さらにリーマン・ショックの後に5大中央銀行体制をつくった。これは一種の「米ドル代理店制度」。米ドルは南北のアメリカ大陸、日本円はアジア、ユーロはEU圏を〝担当区域〟とする。
スイスは非EUのヨーロッパ圏で、イギリスは自国。保険会社の代理店制度のように地域で受け持ちが決まる制度で、それを相互にスワップして支え合うという仕組みになっている。
そのため、基軸通貨が軒並み下落し、無価値になることはない。米ドルが無価値になれば他の基軸通貨も一蓮托生となるとはいえ、そのような事態は地球滅亡レベルの災厄、SFの中での話だ。
この体制において危惧すべきなのは、〝代理店〟の機嫌を損ねると、末端の小売店が潰れていくということだ。
現在、韓国が焦っている理由はここにある。アメリカとも、日本ともスワップを結んでもらえない。日韓通貨スワップ協定は2015年2月に終了し、再開されていない。
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