日本悩ます「エンドレスな円安」にはならない根拠 2023年も円安・物価高は続いてしまうのか

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世界経済が動かないと、必然的に消費される資源の量が減る。通貨を大量に発行しても、使う人が少なければ資源の価格は上がらない。そのような状況で、ワクチンの普及とともにテーパリング(量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減らすこと)と利上げが実施されていたはずである。

しかし、景気の悪化を恐れたバイデン大統領は利上げを先延ばしにし、トランプ前大統領が打ち止めする予定だった失業保険も半年延長した。その結果、インフレが進み、新型コロナウイルス禍から世界経済が回復するにつれて、物価高が一気に襲ってきた。こういう背景をまず理解しておきたい。

アメリカが利上げするワケ

そもそも、アメリカが利上げをする理由は、国民の資産減少を防ぐためである。

たとえばCPI(消費者物価指数)が年に10%上昇したとする。仮に手にした給料を現金のまま保有すると、金利がほぼ0%に近い日本のような状態では毎年10%ずつ手持ちの資金の価値が目減りしてしまう。

これまでの金融緩和で増やしたお金を回収するためには、利上げを行い、それにより財・サービスの量と通貨の量を均衡化していく作業をしなければならない。これが現在のアメリカの利上げとテーパリングの原理である。

その結果、アメリカの2022年8月のCPIは8・3%となり、6月の9・1%に比べると若干下がった。とはいえCPI8・3%に対して、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が7月末に引き上げたフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は2・25~2・5%にすぎない。

これをもう少しバランスが取れるところまで上げていく必要があるのは明らかで、当面利上げと金融引き締めを続ける必要がある。9月21日にはさらに0・75%上昇させ、3・0~3・25%とした。これで6月、7月に続いて3回連続の大幅利上げとなった。

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