日本悩ます「エンドレスな円安」にはならない根拠 2023年も円安・物価高は続いてしまうのか
ところが、協定終了後に韓国の経済状況が悪化。2020年3月に当時の韓国の丁世均首相は「協定の再締結が望ましい」という趣旨の発言をした。これを受けて麻生太郎財務大臣(当時)は参院財政金融委員会で「うわさには聞いているが、財務省として直接聞いたことはない」と韓国側の要望に冷静な反応を示した。
これには後日談があり、麻生氏は記者との懇談の席でスワップ協定終了の前の出来事を明かした。それによると6~7年ぐらい前に日本側が韓国側にスワップの量が足りないことを心配し大丈夫か確認したところ、韓国側は「大丈夫」と返答、しかも「借りてくださいと(日本が)言うなら、借りることもやぶさかではない」と話したという。
「貸す側が借りてくださいと頭を下げる話など聞いたことがない」と、日本側が交渉のテーブルを蹴って撤収したという。
この話は『中央日報』の日本語版など韓国メディアにも掲載されている。おそらく当時の韓国政府はこの〝代理店制度〟を理解していなかったか、理解していても「自分たちは大丈夫」という根拠のない自信に溢れていたかのどちらかだと思われる。
この件では韓国政府の思惑とは逆に、現行の制度の威力を世界に見せつける形になった。
今までの円安とは違う
このように著しい円安は防衛できること、さらに他国にとっても円安により日本の輸出量が増えるのは避けたいといった事情を鑑みれば、エンドレスな円安は考えにくいだろう。
ただ、今回の円安がかつてのように、経済的にプラスに働くかというと一概にそうとは言えない。なぜなら、資源が高騰することで、仕入れ価格が上昇し、円安効果を相殺するという新たな〝変数〟が加わったからだ。
本来であれば「円安=輸出ブースト」となるところ、輸出のブーストがかけられないという何とももどかしい状況に陥っている。その一方で、輸入商品は円安の影響で価格が上がっていく。
まさに円安のデメリットだけが日本経済に押し寄せてくる。その分、円安に対する深刻度は過去にないほど大きくなっている。
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