ギャラは出て500円「地下芸人歴30年」の僕の日常 いつかどうにかなるとみんな信じてきた

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チャンス大城さん(撮影:朝日新聞出版 写真映像部・東川哲也)
芸歴30数年の芸人、チャンス大城。本名、大城文章(おおしろ・ふみあき)47歳を知っていますか? いじめられっ子だった尼崎時代、東京での地下芸人時代と、長すぎる雌伏のときを超え、今、お茶の間の記憶に残る男としてTV出演急増中の芸人です。
昨年には、その半生をまとめた書籍『僕の心臓は右にある』を刊行。とんでもない人生なのに、なぜか元気になる、笑って泣ける、赤裸々すぎる半生記。今回は地下芸人の暮らしについて抜粋してご紹介します。

地下とは、いったいどの地下なのか

2009年6月。僕は東京で最初に入った事務所をやめて、心機一転、フリーのピン芸人として再出発をすることにしました。うつは快方に向かいましたが、仕事が好転したわけではありません。フリーのピン芸人といっても、自分でそう名乗っているだけのことで、実体は限りなくホームレスに近い状況です。

いつしか僕は、地下芸人と呼ばれるようになっていったのです。

地下芸人というと、古めかしいビルの地下にある小劇場やライブハウスに出演しているイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。その「地下」ではないのです。

地下芸人は、地上にある劇場にも野外の舞台にも出演するし、マンションの一室みたいなところでトークライブをやったりすることもあります。

では、いったいどの地下なのかといったら、たぶん「地下に埋もれている」の地下なんだと思います。ある人なんて、地下よりももっと深く埋もれているからといって、僕のことを「マントル芸人」なんて呼んでいたこともありました。

テレビでは絶対に放送できない政治ネタ、宗教ネタ、心霊ネタ、下ネタ、わけのわからない珍妙なネタを止むにやまれぬ情熱でやり続けて、しかも、売れない期間が10年から20年ないと、地下芸人とは呼ばれません。そして、そういう芸人さんは、世の中、いや地下には、けっこうたくさんいるのです。

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