日本人は外国人客急増の「貧しさ」をわかってない 円安と低成長で経済力低下、安い賃金に甘んじる

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日本は島国なので、以上のような統計の数字を示されても、これまではそれを実感できなかった。

2022年には、iPhoneのような国際的商品が大幅に値上がりしたので、日本が貧しくなっていることを痛感させられた。

また、急激な円安によって、外国人労働者が日本離れを始めたことも報道された。これまで介護等の仕事でフィリピンから来ていた労働者が、所得の高いオーストラリアに行ってしまうといったニュースだ。

しかし、実は、日本が貧しい国になったことの結果は、しばらく前から、明白に生じていたのだ。その変化は誰でも知っていることだが、日本が貧しくなったためにそうなったことを、多くの人は理解できなかった。

それは何かというと、外国人旅行者の急増だ。

日本が貧しくなったので、外国人旅行客が急増した

外国人旅行客の急増は、日本の貧しさの結果だという考えは、多くの人の考えとは反するものだ。そこで、以下にやや詳しく説明しよう。

来日外国人旅行客数は、2013年から急増した。2007年から2012年までは年間800万人台だったが、2013年に1000万人を超え、2019年には3188万人となった(観光庁の資料による)。国別では、韓国、中国、台湾が大部分だ。

日本の観光地の価値が高まったために、外国人が高いお金を払ってでも日本に来るようになったのだったら、本当に嬉しいことだった。

しかし、実際に起きたのは、そうしたことではない。日本での旅行や買い物が安くなったために起きたのだ。

かつて、ユーロが形成される以前の時代、豊かなドイツの労働者は、バカンスになると、ドイツ人から見れば物価が安い国であるギリシャを訪れた。それと同じことが生じたのだ。日本は、アジアのギリシャになったのである。

だから、外国人観光客の急増は、本当は日本にとって恥ずかしいことであり、悲しいことなのだ。

銀座の表通りに外国人を満載した観光バスがわが物顔に駐車している(たぶん、違法駐車)のを見て、なんと残念なことが起きたのだろうと思った。

無断撮影、敷地内への踏み込み、深夜の騒音、通勤ラッシュの悪化等々。京都などでの観光公害の報道を見て、悲しい気持ちになった。

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