株高と金利低下が世界同時に進むナゾ リスクを軽視した解釈をするべきではない

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先進国経済の大半における人口動態の逆転と労働供給力の低下は言うまでもなく重要である。問題は、このトレンドが非常に段階的かつ予測可能な形で進展している一方、金利低下は急速かつ、ある意味で予測不可能なことだ。そして、人口動態の脆弱さが株式価格の堅調さの主因だと主張することは難しい。

リスクと混乱は重要視されていない

興味深いことに、リスクの高まりとさらなる混乱に対する恐れは、現在の政策論議で重要視されていないようだ。

そのようなリスクに対し、債券は完璧なヘッジとはならないものの、株式に比較して通常よい成績を残している。

最近の研究では、比較的小さな災害リスクの変化でさえ、グローバル実質金利の大幅な低下(マイナスもありうる)を招きかねないことが示された。

しかし、こうした事柄が政策に及ぼす影響は単純なものではない。政府が優れた情報と分析能力を有し、社会不安が正当なものではないことを正しく評価するならば、当然、情報の利用は有意義なものとなる。

他方で、災害リスクの高まりに関して大衆が基本的に正しいとすれば、災害が起こった場合、政府は高い費用負担に直面する可能性が高いということだ。これはつまり、最も必要とされるときのための財政余地を確保する高いオプション価値を示唆する。

超低金利が単に需要不足や金融抑圧のもたらす兆候にすぎないという考えは、単純化しすぎており危険だ。もちろん、金融危機の端緒における将来的な経済破綻のリスクへの社会不安の高まりは、ユーロ圏に残る脆弱さと新興国市場の不安定性とともに、重要な役割を果たす。当然ながら大衆はより用心深くなる。しかし、株式および債券の価格トレンドを説明できるリスクが現実となりうるならば、政策立案者もまた、無謀なまねをしないよう留意すべきであろう。

週刊東洋経済2015年3月28日号

ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

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Kenneth Rogoff

1953年生まれ。1980年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。1999年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001〜03年にIMFのチーフエコノミストも務めた。チェスの天才としても名を馳せる。

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