日本が安全保障力を着実に高める為の5つの方策 構造変化に戦略的・機動的に対応するには

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これらの課題については、「総合的な国力を最大限活用」するという観点から、国家安全保障会議において指針を示したうえで、計画や事業の重要性、緊急性、所要経費の規模など各種要素を考慮しつつ、計画の中止・延期・組み換えも含め柔軟な予算執行を行うことが求められる。平素からこうした運用を重ねることで、国全体としての緊急事態への備えもやりやすくなる。

3 関係府省の各種事業の見える化・生きたデータベース化(Integration)

政府内はもとより官民連携を真に確保するためには、平素から取り組んでいる各種施策における安全保障関連要素やその欠落が浮かび上がるような形での事業体系の「共有化」が必要である。その対象は「研究開発、公共インフラ整備、サイバー安全保障、国際協力」の4分野にとどまるものではない。

安全保障サイドから具体的な緊急事態において必要となりうる施策について提起し、それに応じて各府省が具体的な検討を行う。それに加え、各府省が主体となって自ら極力幅広く課題を想定し、政府全体として講ずべき措置あるいは共有すべき情報・事業について双方向的にニーズを組み込むといった体制が必要である。

目立つ事業だけに絞らない

特定の目立つ事業だけを切り取り、安全保障関連事業として管理していくという手法に陥ることなく、関係府省の見えにくい重要な事業にも光を当て、有機的な連関を構築することを目指すのが望ましい。

このためには、目標、内容、達成時期を具体的に示し、部局間の壁を越えて各種事業に関するガバナンスを高めうる、統一的な情報・事業管理手法を確立する必要がある。これにより、実効的な「見える化」が図られ、それぞれの相互関係、融合・加速化、コストの違い、欠落・不備是正事項がより明らかになることも期待できる。

4 平素からの国際的な情報共有と調整システムの確立(International cooperation)

戦略の効果的な実施のためには、同盟協力、二国間・多国間協力、地域協力を含む国際協力が不可欠である。分野別ないし特定の問題が生起した際にそれに焦点を当てた枠組みを構築することと並んで、平素からの分野横断的な国際協力体制の構築が重要である。

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