キーエンス出身者が解説「無駄と付加価値」の違い 顧客ニーズとずれた高スペック商品が溢れる訳
付加価値には「仕組み=構造」がある
付加価値を提供していくためには、何がお客様にとって付加価値があり、何が付加価値でないのか。その差をはっきり見分けなければなりません。下の図を見てください(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
これは私が「付加価値とは何か?」の説明をするときによく使う図です。この図表を使って、付加価値がどのような仕組みでつくられているかという、「付加価値の構造」を可視化して解説していきます。
この図の中で、付加価値はどこにあると思いますか? 講演やセミナーでこの質問をすると、多くの人が、「お客様のニーズ」のラインを超えた上の部分を指して「付加価値とは、この部分のことを指すのだと思います」と言います。
「お客様のニーズを超えたものを提供することが付加価値だ」という考えです。実際に多くの人が、付加価値の提供=相手の期待を上回る、何かプラスアルファ的なものを提供することと考えているのではないでしょうか。
しかし、残念ながら不正解です。お客様のニーズを超えた上の部分は付加価値ではありません。この部分はお客様に提供しても付加価値にはならない「ムダ」なのです。
なぜこの部分が付加価値ではなくムダなのかというと、このラインの上の部分はすべてお客様が使わない、求めていないものだからです。では、付加価値はどこにあるのでしょうか?
答えは、「原価」の上に乗った部分から「お客様のニーズ」までの部分です。付加価値とは、商品・サービスがもともと有している価値に「付加できた価値の量」です。ですから、原価(もともとの価値)に上乗せされた部分、かつお客様のニーズを叶えた部分に出てくるものなのです。
もちろん、会計上の付加価値では、控除法と加算法という考え方があります。しかし私が定義する付加価値とは、お客様のニーズをベースにしてつくり上げていくもの、という考え方です。
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