「やさしい経営」するタクシー会社が生き残れた訳 地方に福祉タクシーがあまりない時代の先見の明

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苦境が続くタクシー業界で生き残ってきた会社がある(写真:マハロ/PIXTA)
コロナ禍の外出制限の影響を受けたタクシー業界。そんな中でも、地域の人に必要とされ、生き残ってきたタクシー会社があります。40年以上にわたって8000社を超える企業研究・現場調査をしてきた経営学者の坂本光司氏によると、中小・中堅企業、また地方の企業であっても数々の困難を乗り越えてきた会社は、必ずと言っていいほど「人にやさしい経営」を行っているといいます。今回は、そんな企業の1つである株式会社フタバタクシー(宮城県仙台市)を坂本氏の著書『日本でいちばん大切にしたい会社8』より紹介します。

仙台駅から車で20分ほど走ったロードサイドの一角に、フタバタクシーの本社事務所と配車センターがあります。事務所前の縦長の駐車場には何台かの車が並んでいますが、その様子は他のタクシー業者とは大きく異なっています。

所有する51台の車両のうち23台は普通のタクシーですが、25台は福祉・介護用のタクシー、そして3台はマイクロバスです。車両台数が50台規模のタクシー会社で、保有する車両のおよそ半数が福祉・介護用の車両という企業は、見たことも聞いたこともありません。

福祉・介護タクシーが多いということもあり、46人いるドライバーの、なんと90%以上が「介護職員初任者研修修了者(旧ホームヘルパー2級以上)」です。そのためほとんどのドライバーは、乗客がもしものとき、基礎的対応ができるのです。

そんなフタバタクシーを取り巻く現実は、決して甘いものではありません。

「利用者減」「法人数減」タクシー業界の現実

人口減少やマイカーの増加、地域のコミュニティーバスの運行といった要因で、大半のタクシー会社が苦境に陥っているのが現実です。

この2年間、コロナ禍で顧客が激減していることもありますが、実はこの問題はここ2、3年前からのことではありません。

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