「やさしい経営」するタクシー会社が生き残れた訳 地方に福祉タクシーがあまりない時代の先見の明

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国土交通省の統計をみると、2009~2019年の10年で法人タクシーの事業者数は1020、率にして14.6%の減少、個人タクシーの事業者数は1万2184、率にして28.1%と大幅に減少しています。この10年間で、法人タクシー事業者は毎年100、個人タクシー事業者は毎年1200も減少したことになります。

上述した統計では、タクシー・ハイヤーの年間輸送人員は2009年が19.5億人だったものが、2019年では12.7億人に激減しています。6.8億人、率にして実に34.9%もの減少です。

これだけ減少すると、業界の弱肉強食はいっそう激化し、競争力の劣位な企業は廃業や倒産、あるいは吸収合併されてしまいます。コロナ禍で厳しく移動を制限されていたこともあり、状況は一段と悪化しているでしょう。

人口が右肩下がりでも利用者が絶えない理由

こうした業界の現実のなか、これからの経営のあり方・進め方のひとつを示してくれているのが、フタバタクシーの経営の考え方・進め方です。

フタバタクシーが当時ほとんど地方に存在しなかった福祉タクシー事業を始めたのには、2つの理由がありました。ひとつは、業界との軋轢です。普通タクシーに参入できなかったのです。

もうひとつは、創業者の及川運作さんが福祉・介護分野の将来性に着目していたことです。

運作さんは、東京や仙台でのタクシー会社勤務の経験のなかで、福祉・介護分野のニーズやウォンツが少なからずあるのに、面倒、厄介という理由で既存のタクシー業界は見向きもせず、多くの福祉・介護関係者が不便を強いられていることを知っていたのでした。この運作さんの決断が、いまのフタバタクシーを支えています。

ゆっくりではありますが、福祉タクシー事業は、着実に社会から評価されてきたのです。統計を取り始めた2002年当時の福祉タクシーの事業所数は1418事業所、保有車両数は2712台でしたが、年々増加し、2019年の統計では、事業所数は1万705事業所、保有車両台数は1万4084台にまで増加しています。

人口はとっくに右肩下がりの時代ですが、高齢者は、2040年前後まで右肩上がりで増加し続けるのです。しかも家計調査年報をみると、高齢者世帯のタクシー利用金額はいつの時代も、全世帯平均の1.5倍と高額です。

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