Z世代が「瓶のポカリスエット」に惹かれる納得理由 サステナブルへの意識が高くない若者にも刺さる

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以上、さまざまな「サステナレトロ」商品について紹介した。

サステイナビリティーへの意識が高いことを自己ブランディングの一環としてSNSで発信する若者も多い。一方で、あからさまな意識の高さはZ世代の間で敬遠される傾向にある。だからこそ、流行を取り入れつつも、さりげなく自分の「意識の高さ」をアピールできる「サステナレトロ」がZ世代にはほどよいといえるのかもしれない。

原田の総評:若者の意識自体は実は高くない

現役大学生のレポートはいかがでしたでしょうか。私の調査によると、Z世代のサステイナブル等の社会意識はあまり高くないことがわかっています。

もちろん、文中に現役大学生が書いてくれたように、ごく一部の若者の間では、サステイナブルに関する発信を自己ブランディングとしている人もいますが、決してマジョリティーではありません。

Z世代の多くは、このサステイナブルは、自分世代よりむしろ大人が興味を持っているものだと認識していることもわかっています。

Z世代が興味を持っている社会テーマは、自分が利用する商品に関するもの、友人や同世代の悩みに関するもの等「自分に身近なもの」。

例えば、「SHEIN労働環境問題」「飲食店の紙ストロー」 「インフルエンサーの誹謗中傷問題」「セクハラ・パワハラ問題」「奨学金問題」「LGBTQ」(公にする友人やインフルエンサーも多い)「生理中用バスボム批判」(生理中に経血が気になって湯船につかれない悩みを解決する入浴剤。販売会社が悪趣味すぎるとたたかれている)などがそれに該当します。

しかし、多くのZ世代があまり関心を持っていない「サステイナブル」も、Z世代の多くが関心を持つ「レトロ」と掛け算されると、彼らにとって新しい魅力的な概念になったのだと思います。

今後、大人が思っているほど社会意識が高くないZ世代の社会意識を高めるためにも、企業にはCSR活動として、SDGsなどの取り組みと、Z世代のトレンドを掛け合わせることが必要となっているかもしれません。逆に言うと、こうしたCSR活動を行わないと、少なくともZ世代の多くには届かない企業活動となってしまう可能性が大きいと言えます。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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