では、日常生活ではどういった点に気を付けるとよいのだろうか。
食事面でいうと、下痢が続く場合は水に溶ける性質があり、糖質の消化や吸収を緩やかにしてくれる水溶性の食物繊維が比較的多く含まれている食べ物を摂るとよいという。
海藻類、オートミール、ライ麦パン、押し麦、大根、ごぼう、さつまいも、ブロッコリー、モロヘイヤ、キウイ、イチジク、アンズ、プルーン、しいたけ
一方、コーヒーや香辛料など、消化管の粘膜を刺激するような飲み物や食べ物はできるだけ避けたほうがよさそうだ。
「(コーヒーや香辛料は)まずは1回、飲んだり食べたりすることを控えて、しばらく様子見をするとよいでしょう。やめてみると、その食べ物が原因かもしれない、といったことがわかります」(伊藤さん)
自律神経のバランスが大事
食事以外では、日々の生活でストレスをためないようにすることも大切だ。ポイントは自律神経のバランスを整えること。
ストレスを受けて交感神経が優位になり続けていると、自律神経のバランスも乱れてしまう。例えばヨガは、副交感神経の働きを高める腹式呼吸と、交感神経を優位にする胸式呼吸が組み合わさっているため、自律神経のバランスを整えることができる。
また、入浴はシャワーだけで済ませず、毎日湯船に入ることも、ストレスの緩和につながる。温度は38℃~40℃程度の比較的ぬるいお湯がおすすめだ。ゆっくりとつかることで、緊張がほぐれてリラックス状態になり、副交感神経が優位になる。
睡眠不足もストレス増加の要因になる。例えば寝る直前にスマートフォン(スマホ)を見ているとブルーライトの強い光の影響で脳が休まらないだけでなく、スマホから入ってくる情報によって脳が覚醒してしまうため、眠りが浅くなる。できれば、寝る直前にスマホをオフにしておくなど、ちょっとした日々の心がけも大切だ。
後編では、症状がなかなか改善されない場合に病院ではどのような治療を受けられるのかをまとめる。
(取材・文/若泉もえな)
この記事の後編:【繰り返す下痢】受診の時期と行くべき診療科は
HDCアトラスクリニック心療内科、東急電鉄株式会社統括産業医
伊藤克人医師
1980年、筑波大学医学専門学群卒業後、東京大学心療内科に入局。1986年より東京急行電鉄株式会社東急病院に勤務。現在は東急電鉄株式会社統括産業医兼、東急病院心療内科医師。専門は心身医学、産業医学、森田療法。著作・監修に『いちばんわかりやすい過敏性腸症候群』(河出書房新社)など多数。
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