「もちろん、実際に転職を決めるに際しては葛藤もありました。経済的にも不安定になるかもしれませんし。ただ、それより自分の成長が止まってしまうとか、やれる業務の幅が広がっていかない、という不安のほうが勝りました。20代のうちに成長することで、将来的な報酬にもつながるだろう、という計算もありました」
転職については、2つの条件があった。1つはIT系であること。もう1つは裁量権が大きいことだ。エージェント経由で、いくつかの企業を紹介されたうち、リーガルオンテクノロジーズは両条件に合致していた。
「この会社が手がける法務とか契約書という領域は、もともとほぼ未開の地でした。お客様も効率化を図るなど改善をしたいと思っていますが、具体的には何をやっていいかわからない。その意味で、お客様との併走感があります」
今はカスタマー・サクセス部門で、数十社の顧客を担当する。同時に、新しい営業組織の立ち上げに関わり、チームリーダーにもなった。
「29歳でリーダーになることは、銀行ではありえません。組織のマネジメントを手がけるようになるには、10年から15年はかかるでしょう。メンバーの育成など、試行錯誤をしているところです」
「20代のうちにキャリアの
方向性を決めたいと考えていました」
一方、吉村浩介さん(仮名)は、2020年に新卒で外資系コンサルティング会社に就職し、2022年9月に退職した。11月にエンタメやテクノロジーを中心に幅広い事業活動を展開するメガベンチャーに転職したばかりである。今は出版関連の新規事業の事業開発に関わっている。
「コンサル会社で3年目に入り、年度末には昇格する可能性がある年次。仕事にやりがいを感じていましたが、コンサルの第三者的な立場と、事業会社のビジネスを主体的に進める立場、どちらが自分に向いているのか、20代のうちにキャリアの方向性を決めたいと考えていました。昇格すると、動きにくくなる。もう1つは、手応えを感じていた業務が完了した、ということもありました。今が動く時ではないか、と考えたのです」
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