「脳トレ」を専門医が科学的根拠はないと言うワケ 認知症を引き起こす「脳のゴミ」を掃除しよう

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特に有名なのが、スタンフォード大学西野精治教授の、睡眠とアミロイドβとの関係性に関する研究。睡眠不足が続くとアミロイドβがうまく排出されず脳内に蓄積し、認知症になるリスクが高まるというのです。

こういったことから、脳のゴミであるアミロイドβを排出する“脳のおそうじ”が、認知症を予防するうえで、非常に大切なポイントであることがわかると思います。

脳にゴミが溜まる最大原因は「栄養不足」

では、どうやって脳のゴミをそうじするのか。

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それは薬に頼るのでも脳トレでもなく、先ほどお話しした、脳に「栄養」を与えることです。

脳のおそうじの基本は、栄養に偏りがない食事はもちろん、アミロイドβの発生を防ぎ、排除をサポートする栄養素を毎日摂ることが大切だと私は考えます。

とはいえ、栄養バランスをとりながら、なおかつ脳をおそうじできる栄養素を含んだ食事を毎日作るなんて億劫ですよね。

ここで私がおすすめしたいのが、必要な栄養素を含んだ以下の食材をスープにしてしまうことです。

●魚
→DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA (エイコサペンタエン酸)
●大豆、エゴマ、ナッツ類
→α‐リノレン酸
●卵黄、大豆
→レシチン
●えび・かになどの甲殻類、鮭・マスの身、鯛の表皮
→アスタキサンチン
●こめ油、コーン油、オオムギ油
→γ‐オリザノール
●牛・豚肉の赤身や鶏肉、魚、乳製品、大豆製品
→タンパク質
●ごま
→セサミン
●大豆や豆類、ナッツ
→リン
●緑黄色野菜、肉、魚介類
→ビタミンB群

スープなら、食が細くなった高齢の方でも食べやすく、お腹も満たされるし、栄養バランスも整うし、脳のおそうじもできてしまう。まさにいいこと尽くめなのです。

内野 勝行 医師

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うちの かつゆき / Katsuyuki Uchino

30万部突破『疲れをとりたきゃ腎臓をもみなさい』を監修。
帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現在、金町駅前脳神経内科院長。脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた経験を基に、脳をクリーニングする「脳のおそうじスープ」を開発した。フジテレビ「めざましテレビ」やテレビ朝日「林修の今でしょ!講座」などテレビ出演多数で、さまざまな医療情報番組の医療監修も務める。

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