「脳トレ」を専門医が科学的根拠はないと言うワケ 認知症を引き起こす「脳のゴミ」を掃除しよう
このように答えた患者さんのなかでも、自主的に来院された方はまだ症状が軽い可能性があります。
深刻なのは、家族などの第三者に受診を促されて来院された患者さんです。
なかには、頑なに物忘れすることを否定し、怒りを露わにするような方もいらっしゃいます。
ここまで症状が進行してしまうと、認知機能を取り戻すことは難しくなります。
しかし、認知症もほかの病気と同様、自覚症状がない、または軽い「未病」の段階で対策を講じれば進行を食い止めることが期待できるのです。
特に、遺伝性のものや、特定の疾患によって引き起こされるような特殊なケースは例外となりますが、一般的には、長年にわたり脳に悪影響を及ぼす“物質”が蓄積することで発症すると考えられています。
言い換えるとすれば「脳のゴミ」という表現が最適かと思います。
たとえば、認知症の原因として最も多いアルツハイマー病という病気は、15~20年という長い年月をかけて「脳のゴミ」が蓄積した結果、引き起こされると考えられています。
裏を返せば、「脳のゴミ」をできるだけ早い段階でクリーニングし、さらに、極力ゴミを出さない生活習慣を続けることで脳の衰えを防げたり、先送りにできるということになります。
認知症を引き起こす「脳のゴミ」とは
それでは、「脳のゴミ」とは一体どのようなものなのでしょうか?
近年最も注目を集めているのが、アミロイドβ(ベータ)という物質です。
簡単に言うと、脳に悪影響を及ぼす毒素で、脳細胞を死滅させ認知症を引き起こす“真犯人”と考えられています。
認知症を引き起こす病である「アルツハイマー病」も、アミロイドβの蓄積によるものであることがわかっています。
こうした理由から、世界中の研究者たちは、認知症を克服するためにアミロイドβをいかにして脳に溜めないか、排出するかに関しての研究を進めています。
たとえば、アメリカのスタンフォード大学では、アミロイドβに関するさまざまな研究論文が発表されています。
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