「仕事が多いけど何とかしよう」は危険すぎる道だ 自分の負荷はもっと悲観的に考えたほうがいい

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また、方針やスケジュールを決める段階では、実際に動く人の労力や時間が無限にあるかのように考えがちですが、絶対にそんなことはありません。張り切って無茶な計画を立てて、結局、計画通りにいかないということはよくあるのではないでしょうか? 

「自分にどれくらい負荷がかかるか」をわかったうえで進めないと続きませんし、計画倒れで終わります。「ちょっと無理そうだな」と思ったら、その直感には従ったほうがよいでしょう。

くり返しますが、こうした判断が必要な時に、すぐに「とにかく頑張る」「仕方ないけど頑張るしかない」「このままでは達成できないから人を増やそう」といった発想になるのは危険です。結果的に利益がどんどん薄くなり、間違った方向に向かってしまうわけです。そのまま地獄に進んでいるともいえる発想です。

収入を上げる方法は二択

また、個人の例でいえば、会社員は年収であるとは思いますが、フリーランスは売上が月収や年収に直結します。つまり収入を上げる時の計算式は「時間×単価=収入」であり、収入を上げる方法は働く時間を増やすか単価を上げるかの二択です。

二択のどちらも選べるのですが、多くの人が働く時間を増やそうとします。

しかし、企業でもフリーランスでも、負荷をかけずに解決する方法はたくさんあります。単価を上げるという選択肢を選んでもよいのです。というより、商品やサービスの質を高めて単価を上げる方向に舵を切らないと、いずれ頭打ちになるのが目に見えています。

なお、自分に負荷をかけずに問題を解決するという発想は、個人が自分自身のキャリアを考えるうえでもとても大事です。

たとえば、転職をする時に「50万円の広告を売っていた人」と「500万円の広告を売っていた人」「5000万円の広告を売っていた人」では、誰が市場価値が高いかは明らかでしょう。転職市場では、50万円の広告をがむしゃらに売ろうとする人より、効率よく5000万円の売上を上げられる人を求めることが多いはずです。

とはいえ、会社は社員の市場価値のことまで考えてはくれません。会社としては「どっちでもいいから売上を上げてくれ」というのが本音でしょう。

あなたのキャリアはあなた自身で考えるしかありません。自分のキャリアのことを考えたら、「50万円の広告を2倍に増やせという会社には未来がないから、単価の高い会社で価値の高い仕事を目指そう」と考えていくことが大切ではないかと思います。

少なくとも、会社から「売上を2倍にしてほしい」という指示が降ってきた時に、ただ従うのではなく、「何でやるんですか?」「どうやってやるんですか?」と質問し、もし上司からの説明に納得できなかったら「一人ひとりが2倍頑張る方法だと無理がありますよね? それよりも、みんなで単価が高い仕事を取れるようにするために勉強会をするとか、単価の高いお客様に営業をかけるとか方法を考えませんか?」などと提案できるようになれるとよいでしょう。

次ページその問題や目標は、解決する意味があるのか?
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