アウディ「Q4 e-tron」乗ってわかったBEVの実力 高級車購買層の間で脚光を浴びる背景を探る

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
アウディ「Q4 e-tron」
赤や青、シルバー系のボディカラーも(撮影:鈴木 紳平)

反面、アウディらしいビシッと腰の据わった直進性が得られるかどうかが気になったものの、精密に作られたステアリング機構と巧妙なアライメント設定により安心して高速クルージングできた。

試乗途中に何度かUターンする必要があって気がついたのは、車体サイズのわりに非常に小回りが利くことだ。ボンネットの中にエンジンが備わらないため、ステアリングの切れ角を大きく取ることができ、最小回転半径を小さく(5.4m)できるのだ。

「こんなところでUターンできるの?」と思うような狭い道も一発で方向転換できる。新型車紹介のプレゼンテーションで「コンパクトSUV」とうたわれていることが気にかかっていたが、この小回り性能であればそう称することも許されるだろう。

1年を超える納期、4WDの追加導入が悩ましい

Q4 e-tronの購入を検討している人にとって悩ましいのは、噂によれば1年を超えるという納車までの待ち時間と、本国ではすでにハイパワーで4WDシステムを備える「Q4 e-tron 45クワトロ」 (最高出力195kW)「Q4 e-tron 50クワトロ」(同220kW)が発売されている事実だ。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

当初は「40」のみのラインナップで始まった日本市場だが、すでに多数を受注したQ4 e-tronのラインナップを将来的に拡充するであろうことは、これまでのアウディ ジャパンのグレード展開実績から考えて間違いのないところだろう。

4WDモデルの導入は、アウディのSUVをさまざまな用途や行き先で使いたいという要望にマッチする。この車重ならもっとパワーが欲しいという意見も理解できる。本社のカタログデータを見比べたところ、航続距離も約3%少ないだけで大きな影響はない。

1つだけ発見した4WDの欠点は、前述した小回り性能だ。Q4 e-tron 40の最小回転直径は本国のデータでは10.2mだが、Q4 e-tron 45/50クワトロでは11.5mになる。もちろん、価格も兄貴分たる「e-tronクワトロ(1070万円~)」に近づくはずだ。

非常に限られた数の人しか買わない、それゆえ選択肢があまりない……というこれまでの電気自動車の欠点は、こうしてやがて払拭され、むしろ今後は内燃機関の選択肢が限られていくのだろう。

この記事の画像を見る(12枚)
田中 誠司 PRストラテジスト、ポーリクロム代表取締役、PARCFERME編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなか せいじ / Seiji Tanaka

自動車雑誌『カーグラフィック』編集長、BMW Japan広報部長、UNIQLOグローバルPRマネジャー等を歴任。1975年生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。近著に「奥山清行 デザイン全史」(新潮社)。モノ文化を伝えるマルチメディア「PARCFERME」編集長を務める。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事