「今日、何してた?」が夫婦喧嘩の地雷になる理由 男性の「スペック確認」vs女性の「警戒スイッチ」

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あるとき、明太子を冷蔵庫にしまい忘れていたら、夫が、その器を高々と上げて、「これって、冷蔵だよね?」と言ったことがあった。あれはたしかにとがめる口調だったけど、忙しかったので、明るく「そうよ。ありがとう」と応えたら、すごすごと片づけてたもの。

たとえ、夫に悪意があったとて、こちらが明るく受け止めたら、悪意ではなくなってしまう。マウンティングは、こちらが嫌な思いをしたときにだけ成立するのである。

たいていの悪意のない夫たちは、妻に逆上されて、びっくりして、なんて機嫌の悪い人なんだろうと怯えたりしている。裏読み、止めるしかないでしょう?

「今日、何してた?」が地雷

5W1Hは、問題解決型の対話の始め方でもある。スペック確認のつもりじゃなくても、たとえば、「今日は、ちょっと妻と話をしようか」なんて思いついたとき、問題解決型の夫は、「今日、何してた?」なんて聞いてくる。

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これって、妻には、「部屋も片づいてないし、料理も出来合いだし、一日何してたんだ?」と聞こえたりするので要注意だ。

もちろん、素直に「手芸屋さんに行ったら、知り合いにばったり会って〜」なんて話してくれる妻もいるので、困っていなかったら気にしなくて大丈夫。要は、スカートの質問の男性たちのように、こちらの無邪気な質問で妻が不機嫌になる不思議を抱えている方は、「いきなりの5W1H」を控えたほうがいい。

ところで、妻の皆さんも、子ども相手にいきなり「宿題やったの?」「学校どう?」なんて聞いてませんか?

これって、夫が「メシできたのか?」「今日何してた?」って聞いてくるのとまったく同じ構図。話が弾むわけがない。ムッとして、「ああ」とか「別に」とか「普通」とかが返ってくるのが関の山。小言のつもりなら意図通りだけど、子どもとコミュニケーションを取るつもりなら、まったくの逆効果である。

黒川 伊保子 人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家

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くろかわ いほこ / Ihoko Kurokawa

1959年、長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、“世界初”と言われた日本語対話型コンピューターを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。近著に『妻のトリセツ』(講談社+α新書)、『女の機嫌の直し方』(集英社インターナショナル)、『夫婦脳』(新潮文庫)など多数。

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