新型セレナ「顔だけじゃない」デザインの見どころ 各所に見える日産の「新しいチャレンジ」

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ステップワゴンも、ハイブリッド車は他のホンダ車同様ボタン式で、輸入車ではアストンマーティンやアバルトなどが以前から使っており、珍しい方式ではないが、日産としては初採用だ。

4つのボタンで操作するドライブセレクター(写真:日産自動車)

操作性について懸念を持つ人もいるかもしれない。しかし、筆者の以前の愛車であるシトロエン「C4カクタス」もこのタイプだったが、自分の経験から言えば、助手席に人を乗せた際を含めて誤操作はなかった。

ただし、ステップワゴンをはじめ、他車は各ボタンを離したり形状を変えたりといった工夫がある中で、セレナのそれは横一列で間隔や段差などがないことが気になる。

室内空間は、長さと幅でこのクラスNo.1を誇る。5ナンバーにとどめたことを考えれば立派だ。ニュースリリースでは、特に運転席と助手席の間の移動がしやすくなったとある。横並びのボタン式ドライブセレクターを採用したのは、このためだったのかもしれない。

シフトレバーがないためにスッキリした印象の前席まわり(写真:日産自動車)

 

インテリアは「ブラック」でクールに

セダンやSUVではよく見られる、インパネからドアトリムを連続させた造形を、ミニバンに投入したことも目を引く。ルキシオンとハイウェイスターVでは、この部分がステッチの入ったレザー調素材になっており、シートのアクセントカラーに合わせて色わけされ、スライドドアまでそれが続く。

インパネからドアトリムがつながるデザインことがわかる(写真:日産自動車)

インテリアカラーはブラック基調で、一部のグレードで明るいグレージュのシートが選べるぐらいだ。ミニバンにありがちな暖かさを強調した空間ではなく、クールな雰囲気に映った。

シートレイアウトでは、これまで7人乗りだったe-POWERでも8人乗りを実現し、3列目にもシートスライドを標準装備したことが新しい。お菓子などの食べカスが隙間に入り込みにくく、飲み物などをこぼしてしまったときにふき取りやすいという、ミニバンらしい配慮もある。

5:5分割式として、左右に跳ね上げるサードシート(写真:日産自動車)

3列目の格納は従来どおり、両サイドに跳ね上げる方式を採用した。床下に格納するステップワゴンのほうが使いやすさでは上になりそうだが、代わりにセレナには前述のように、リアゲートにガラスハッチが内蔵されている。

ノア/ヴォクシーも、ゲートを途中で止めることができる機構を用意したりはしているものの、セレナのガラスハッチは低い位置から開くので、大抵の荷物は出し入れできるはず。実際に使ってみれば、重宝する装備であることがわかるだろう。

新型セレナは、デザイン面でも機能面でも先代までのよさを残しながら、フロントマスクを筆頭に“新しい日産車”を示している。そんな風に感じた。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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