繰り返される「公務員の不祥事」の背景にあるもの 問題は個人にあるのか、組織か…専門家に取材
「不祥事の発覚した部署では、誰かが事前に問題点に気づいているもの。ただ、それを指摘したり改善しようと行動したりする人材がすごく少ない。変えていくことには、リスクや責任が伴うかもしれないけど、職員が自分の裁量で、もっと自主性を持って自分で判断して、その場その場の問題に対処していかなければならないと思う」
組織の問題を改善していくうえで一番大事なのが、「リスクに対する職員の理解を深めること」だと小紫市長は強調する。
「リスクというのは、つまり『悪いことしたらやばいよね』『こんなことが起こったら大変だよね』という感覚のこと。だからこそ、普段から起こりうるリスクをすべて掘り出しておく。また、実際に不祥事が起きたときに、まず何をするのかということを順位付けして具体的にシミュレーションしておくことで、起こったあとの対処も迅速に進めることができる」
どのような公務員が求められるか
縦割りなど、旧態依然たる役所のさまざまな「病巣」を取り除いていくためにも、今後どのような公務員が求められていくのだろうか。前出の太田教授は、これからの組織のリーダーには、これまでのリーダーとは違う能力が求められると考える。
「従来型の管理ではなく、サポート・支援するという方向にウエイトが移っていくだろう。これも部下の自律性が高まってはじめて可能になるわけだが、能力を引き出して活躍できるような場を与えたり、情報を提供したりする。イメージとしては管理職というよりも、ファシリテーターやコーディネーターのような役割を果たすようになってくると思う」
そのためには、組織の問題の具体的な解決策として「外部の力を借りるなどさまざまなアプローチが重要」と指摘する。
「やっぱり外部から人材を獲得したり、活用したりすることは大事だと思う。ただ、そこで民間企業からという発想になるのではなく、例えば欧米では公務員の間での労働市場があるように、日本でも公務員、あるいは準公務員、NPOやNGOなど広い意味で公的な仕事に携わる人たちのなかで人材の市場ができればいい。メリットとしては、公的な仕事の経験者なら少なくとも機密情報の扱いについては安心して任すことができるだろう」
職員1人ひとりが分け隔てなく臆せずものが言える組織づくりをリーダー自身が率先して進められるかどうか。公務員組織の未来はリーダーたちの気概にかかっているといえそうだ。
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