日本人が愛した「ジャニーズの名曲」変遷の軌跡 時代と共に読み解く「光GENJI」「嵐」「Snow Man」
大ヒットのみならず、社会に大きな影響を与えたのが2003年の「SMAP」による『世界に一つだけの花』(2002年リリースのアルバムにも収録)。
作詞・作曲は槇原敬之で、「天上天下唯我独尊」を分かりやすく書いた、という。宇宙で私という存在は一つだけ。だから比べなくていい、誰もが尊いひとり。これを「No.1にならなくてもいい」「特別なOnly one」と表現した歌詞は、昭和から続いてきた競争社会から「個性重視」の時代へと後押しした。
「オンリーワン」は流行語大賞にもノミネート。新時代の価値観を表すキーワードとして一般認知されるようになった。
平成後期、SMAPに続き高く支持されたのが「嵐」の楽曲だ。1999年のデビュー曲『A・RA・SHI』には「悲惨な時代って言っちゃってる」という歌詞がある。まさに混沌と暗い事件が続いた世紀末、新たな時代の“嵐”を巻き起こすよう託された彼ら。
その後、時間をかけて奇をてらわず、美しいユニゾンで小さな子どもからシニアまで広く愛された。平成から令和になる2019年、「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」で奉祝曲として『Ray of Water』を歌ったのは、なんとも感慨深い。
嵐と同じく、日本が疲弊していた時代、自分たちのグループ名をタイトルにしたシングルでデビューしたのが「Sexy Zone」。東日本大震災から8カ月後の2011年、『Sexy Zone』でデビューし、今年11年目にして初のドームコンサートを叶えた。時間をかけ、個性を磨いて人気を高めるというプロセスも似ている。この2グループのあり方は、「グループで若き輝きを超えていく」という、新たな花の咲き方を示してくれる。
「Snow Man」の『D.D.』は令和の『仮面舞踏会』
下積みが長いグループが花を咲かせているのも、令和の特徴。結成からなんと11年かけてデビューを果たした「Snow Man」のデビュー曲『D.D.』は、これまでの努力と技術を爆発させるような歌とダンス、そしてアクロバットに“新時代”を予感させた。少年隊の『仮面舞踏会』を初めて観たときに通ずる興奮。まさに昭和と令和の舞踏会!
新しさの中に不思議な懐かしさも感じたのが、今年世界デビューを果たした「Travis Japan」だ。特に、アメリカのリアリティ番組「アメリカズ・ゴット・タレント シーズン17」でパフォーマンスした『夢のHollywood』。簡単にネットで世界と通じることができる時代だが、夢を叶えるのに情熱と努力は最強、というのは昔から変わらない――。そうガツンと見せつけられた気がした。
そして最後にもう1曲、「男闘呼組」の『TIME ZONE』。1988年にデビューし、現在は事実上解散状態で、事務所もバラバラになっていた4人が復活を遂げたのは、控えめに言っても奇跡だ。29年という長い歳月を経て響かせたサウンドは最高にエモーショナル。彼らの姿から「もう二度と戻らない」と思っていることがひっくり返る希望、そしてリ・スタートの勇気をもらえる。人生何が起こるかわからない。彼らの再結成は、人生100年時代の理想でもある。
埋まる記憶を思い出させてくれる、キラキラの付箋のようなジャニーズソング。王道を進むもの、新たな活路を見い出すもの、一瞬の強い光を放ったもの。彼らの輝きと時代の動きを折り込んだ楽曲たちは、いつでも「思い出したいあの頃」に戻してくれる。希望をつくる“夢の職人”の如く、新たな時代の喜びをビビッドに提供してくれるのである。
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