日本人が愛した「ジャニーズの名曲」変遷の軌跡 時代と共に読み解く「光GENJI」「嵐」「Snow Man」

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アイドルという概念そのものを変えたのが、「少年隊」の1985年のデビュー曲『仮面舞踏会』だ。この衝撃は、歌謡史に残る“事件”と言っていいだろう。“歌”というよりは、まさに少年隊の3人が開く、数分間の“”。歌はうまいし、ダンスはハイレベル。バク転をクルクルとやってのけ、ジャニーズ=ハイスペック集団と世間に印象づけた。

当時の歌謡界は、おニャン子クラブ全盛期だった。人気歌番組「ザ・ベストテン」で『仮面舞踏会』は、新田恵利の『冬のオペラグラス』と1位を競い合っている週もある。“素人っぽさ”を前面に出した企画重視のおニャン子と、超絶テクニックの少年隊。アイドルの新たな形の両極端が楽しめた時代だった。

40年先を見通した『硝子の少年』の持続可能性

バブル真っ只中の1987年、ローラースケートで時代を駆け回ったのが「光GENJI」。彼らの輝きは、まさにその時代を具現化したような、期間限定の“爆発”だった。1970年代のピンク・レディーに通ずる、歌謡界の一瞬の閃光――。

壊れそうなものばかり集めてしまうよ」と歌った、CHAGE and ASKAの飛鳥涼が作詞作曲した『ガラスの十代』、ネバーランドを思わせる『パラダイス銀河』は、タイムマシン的に過去に引き戻される。ローラースケートを見ると自動的に「ようこそ~ここへ~」と口ずさんでしまう人も多かろう。

同じく、「少年=ガラス(硝子)」と歌ったのが、1997年の「KinKi Kids」のデビュー曲『硝子の少年』である。発売当時は「アイドルのデビュー曲にしてはちょっと古くさくない!?」と衝撃だった。デビュー25周年を迎えた今年、改めて聴いてみた。

すると、年齢を重ねた今こそ、この曲が沁みることに驚いている。“若い頃のキラメキ”という期間限定のものを、人生を進むごとにジワジワ味わえるという不思議な体験。山下達郎が「2人が40歳になっても歌っていける曲」としてつくったというが、まさにそれが現実となったわけである。

少し変わった形でジャニーズソング史に爪痕を残したのが、2005年、ドラマ「野ブタ。をプロデュース」の主題歌として大ヒットした「修二と彰」(亀梨和也山下智久)の『青春アミーゴ』である。これまでのジャニーズソングにはなかった、香ばしいほどの“友情フレイバー”を実現。

年齢層の高い男性にもしっかりと届いたようで、当時、「地元じゃ負け知らず」というフレーズを嬉しそうに肩を組み、カラオケで歌っている中年男性たちをよく見かけたものである。昭和のマッチの一匹狼路線とは違う、アウトロー感。歌っているのは当時20歳前後だった亀梨山下だが、「オヤジたちのためのジャニーズソング第1位」と言っても過言ではないだろう。

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