日ハム新球場「誰も喜ばない」改修という驚く顛末 ファンにとっても迫力ある試合観戦が損なわれる

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現時点で、セ・パ両リーグはともに組織としては消滅している。2009年に両リーグ事務局はコミッショナーのもとに統合され「運営部」になっている。両会長職も廃止され、セ・パに分かれていた審判も統合された。なぜアグリーメントがセ・パで異なっているのか理解に苦しむ。

日本ハム球団が「デザインありき」で計画を進め、「公認野球規則」をよく理解せず、しかるべき手続きも踏まずに球場を設計したことは、明らかな失策だ。しかしそのためにせっかく完成した球場を再び壊して改修させるのは、杓子定規に過ぎるというべきだろう。

改修すれば、工夫を凝らした球場デザインも印象が変化するだろうし、球団にとっては高額で販売できるバックネット裏のシートが削減される。ファンにとっても迫力ある試合観戦が損なわれる。誰も喜ばない改修だといえるのではないか。

過去に「二段モーション」の解釈で違いも

「公認野球規則」に関しては「二段モーション」についても日米で解釈の違いがあり、日本語版が改訂されたこともある。それまで長年にわたって日本の投手は、アメリカとは異なるルールを適用され、不利益を被ってきたのだ。そうした問題点はほかにもある。「公認野球規則」は金科玉条ではないのだ。

今回の件で、日本ハム側は手続き上の非を認めている。それに免じてNPB側は特例措置として球場設計をこのまま認可するという手はないのだろうか。そのうえで「公認野球規則」に関する非合理的な部分について改訂すべきだと思う。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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