球団は「公認野球規則の解釈、認識が不十分だった。もっと早期に本件について自ら気付き、関係各所に相談すべきだった」とし、川村浩二社長兼オーナー代行は「MLBを参考に臨場感のある球場作りを進めてまいりましたが、日米の規則の差に関する確認や相談が不十分となるなど、そのプロセスに問題がありました」と謝罪した。
「本塁―バックストップ間」が60フィートないことでの不都合、問題点はMLBでは報告されていない。確かに本塁と観客席が近くなれば、よりスピードのある球が飛んできて危険性は増すが、バックストップにはネットが設置されていて、観客に打球が直撃するリスクはそれほど大きくない。
バックネットを約3メートル後ろに下げるとなれば、前列の観客席は取り壊しになるだろう。それだけでなく一塁側、三塁側の観客席まで改修が及ぶと考えられる。設計も変更になるし、多額の改修費用も発生するはずだ。
事前にしっかりした手続きを踏んでこなかったというのは日本ハム側の瑕疵ではある。しかしNPBや他球団もなぜ、ここまで「公認野球規則違反」を放置していたのか。
アグリーメントが異なり、事前調査は行われなかった
新球場の「本塁―バックストップ間」の距離が問題になるのはこれが2回目だ。2009年に開場した2代目の広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島)もアメリカのスタジアムに倣った設計で「本塁―バックストップ間」を60フィートより短くする予定だったが、NPB側の事前申請によって否定され、規定ぎりぎりの60フィートに設計変更されたという。
セ・リーグのアグリーメントには「球団は、新規の球場または改造した球場で選手権試合を挙行する場合、試合予定日の100日前までに連盟に申請し、連盟は選手権試合を挙行するに相応しいか否かについて、審判員または記録員1名を派遣して調査する。再改造や修理を要する箇所があれば、申請球団を通じて球場に指示する。調査の経費は連盟が負担する」という条項があり、これが適用されたという。
NPB機構に文書で確認したところ、パ・リーグのアグリーメントにはこうした記載はなく、事前の調査は行われなかったという。今回の事件の背景には、両リーグ間の決めごとの違いもあったのだ。
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