彼女は月に1回か2回は日本食レストランで外食します。店はファミレス風の「oishi(おいしい)」という現地のチェーン店。ビュッフェ(539バーツ/2000円弱で食べ放題)がお気に入りとのことです。日本人のわれわれからすると、ぜんぜんおいしくなかったのですが……。
そんなプラウさんの悩みは彼の浮気。驚いたのは彼女が浮気について「男女は違うので仕方ない。でも女が浮気するのは許されない」と言っていたことでした。
彼氏(写真右)はお世辞にもイケメンとは言えず、プラウさんの容姿からすれば正直、釣り合っていません。にもかかわらず、なぜプラウさんがこんなに下手(したて)に出ているかというと、タイでは女性の人口が男性より多い、つまり男性が貴重なためです。
タイ内務省の発表によると、タイ全土での男女比率は10対11。バンコクではさらに女性比率が高くなるばかりか、ゲイも多いため“純粋な男子”が少ないことも、“男のほうが価値が高い”という意識の植え付けに拍車をかけていると思われます。
彼女が今したいことは整形です。「顔がきれいじゃないと自信が持てないの。就職にも不利だし」と言う彼女は、鼻をいじり、顔のエラを削って、豊胸したいそう。女友達の半分くらいは整形していることからも、韓国同様、タイは整形への抵抗が少ない国といえるでしょう。この根本にあるのは、男の地位が高い、男の数が少ないゆえに、「男に選ばれたい」という女性心理です。
「少しでも若くいたいから、肌のケアは怠らないよ」
モス君は英語学科に在学中で、スチュワード(男性CA)志望です。「日本に行きたい。新幹線、富士山、桜の写真を撮りたい」と言っていますが、知っている日本の有名人を聞いても名前は挙がりませんでした。好きな有名人で出てきたのは、韓国の男性アイドルグループ2PMとチャン・グンソクです。
写真と彼の嗜好でなんとなく推察されますが、モス君は同性愛者です。取材中、本人からのカミングアウトはなかったものの、取材後、彼の友人からそれを聞きました。モス君にかぎらず、タイは女装した同性愛者が多いことで知られていますが、前出のプラウさんの大学ではすごいことが起こっています。入学から3年経った今、“純粋な男子”はなんと当初の半分以下になってしまったとのこと! 数年前と比べても、芸能人のカミングアウトに関して、かなり社会的許容度が上がったとも言っていました。
タイでの男性化粧品需要は伸びつつありますが、モス君のお肌への気遣いもかなりのもの。スクラブマスク、コラーゲン、ニキビケア用のクリーム、ホワイトニング(美白スキンケア)等々。サプリメントを大量に常備し、冷蔵庫にはフェイスマスク。
「少しでも若くいたい。顔がいいと就職活動にも有利」と強調するモス君は、肌の手入れをしない女子に対して「自己管理ができない人は他人の管理もできない」と手厳しいコメント。女子力の強い男子がモス君の周囲にも増えてきたそうです。