
タイではイケイケの経済成長の中で、若者は消費も人生観も強気になっているようです(写真はタイの市街地)
今、多くの日本企業から注目を浴びる東南アジアは、平均年齢が20代の国ばかり。東南アジアでマーケティングをするということは、若者たちにモノやサービスを売る、ということと同義です。
ところが、そこに暮らす若者たちの生態や消費傾向は驚くほど知られていません。そこで、「さとり世代」「マイルドヤンキー」の名付け親にして若者研究の先端をいく博報堂の原田曜平と、世界70カ国の現地在住日本人にネットワークを持つTNCの小祝誉士夫がコラボレーション。現地調査を元に各国の状況をリポートします。
東南アジア諸国の中でも、頭ひとつ抜けて経済成長が著しいタイ。そこに暮らす若者たちの実態をお伝えした前回記事に続き、今回は日本の若者と驚くほど共通項の多いケータイ・SNS事情や仕事観・結婚観についてリポートします。
依然として高い、若者の自動車所有熱
若者の車に対する意識は国民性を表します。たとえば今の日本では、バブル期のような高性能なスポーツカー志向は薄れ、ラグジュアリーなミニバン志向が強まっています。景気の影響もありますが、都内在住で車に興味のない若者が増えているのは、体感のとおりですね。
しかし、経済成長著しいタイは、ASEAN諸国の中で最も車が売れている車大国。ロアーミドル層でも車を所有しています。タイにおける日本車のシェアは実に8割に達していますが、東南アジア全体では9割程度ともっと高いので、他国に比べると少しだけ選択肢が多様化しているといえるでしょう。
車の購入に際してはローンを組むのが主流。バンコク在住の22歳の男性によれば、周囲では3~4割が車を持っており、自分も25歳くらいまでには欲しいと言っていました。
ある20歳の女性はミニ(クーパー)が欲しいと言っていました。「大きすぎなくていいし、かわいい」。この辺りは日本人女性の感覚と同じですね。ミニ人気はアジア全域の女子にみられる傾向で、普通のコンパクトカーに比べると少し高いので、富裕層の女性にはかなりオーナーが多いようです。その女性はわりと裕福な家庭に生まれていて、階層で言うと上の下くらいですが、いわく「友人のうち2割くらいは、父親に車を買ってもらっている」とのことでした。
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