失神チャレンジに興じる子供達過去に15人死亡か TikTokで「失神」を競い意識を取り戻すまでを撮影

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米ウィスコンシン州ミルウォーキーに住むアロヨ家の自宅で、就寝前に姉のアリアーニさんと遊んでいた弟の叫び声が響き渡った。2021年2月のことだった。弟が目にしていたのは、床から2フィート(約61センチ)の高さで宙づりになり必死にもがいていた当時9歳の姉だ。

アリアーニさんはおもちゃの箱に登り、金属製の犬のリードを首に巻き付け、バックルをワードローブのドアのちょうつがいに引っ掛けて遊んでいた。母親は聖書の勉強会のため外出、父親は地下の作業部屋にいて、弟の悲鳴は両親の耳には届かなかった。

その数日後、アリアーニさんがお姫様ドレスとティアラを身に着けて埋葬された後、5歳の弟は両親に何が起きたのかを話した。両親が知ったのは、子どもたちが「TikTok(ティックトック)」に投稿された動画で見たゲームをしていたことだ。

アリアーニさんPhotographer: Dave Kasnic for Bloomberg Businessweek

このゲームは「ブラックアウト(失神)チャレンジ」と呼ばれている。世界中の子どもたちが、家にある物を使って「失神」を競い合い、意識を取り戻すまでの様子を撮影し、その動画をソーシャルメディアに投稿している。こうした危険な遊びは何十年も前からあるが、今は強力なアルゴリズムを用いるソーシャルメディアによってリアルな映像が、リスクを完全に把握するには若過ぎる子どもたちに届くようになっている。

アリアーニさんの死に関する報道はなく、ティックトックは何カ月もこの出来事を知らなかった。だが、アプリに登録できる年齢に達していない子どもたちが失神チャレンジを行い、死亡事故が起き得ることは認識していた。

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