失神チャレンジに興じる子供達過去に15人死亡か TikTokで「失神」を競い意識を取り戻すまでを撮影
シチリア島で同じような事故が発生
イタリアでの調査
アリアーニさんが亡くなる数週間前、ユーザー保護などを担当するティックトックのチームはイタリアのシチリア島パレルモで起きた同じような事故の調査を始めていた。10歳の少女、アントネラ・シコメロさんが21年1月に首にバスローブのベルトを巻いてタオル掛けにぶら下がっているのが発見されたのだ。
少女の両親は地元メディアに娘は「ティックトックで極端なゲーム」をしていて亡くなったと明らかにし、パレルモの検察が捜査に着手。イタリアの個人情報保護当局はティックトックに年齢が13歳以上であることを確認できなかった国内ユーザーを削除するよう命じるとともに、ティックトックが12歳以下の子どもをアプリから遠ざける自社ルールを順守していないと主張した。
ティックトックのチームはアントネラさんが亡くなる前に見た多くの投稿動画を何日もかけ全て見直した。彼女の死亡に関する内部報告の要約を見たチームメンバー2人が、メディアに話す権限がないとして匿名を条件に明らかにした。
内部報告によれば、新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校中にアントネラさんは1日10時間もティックトックを見ていたこともあった。アカウント作成時、アントネラさんは同年代の多くの子どもたちと同様に13歳以上だと偽っていた。チームが自社のアルゴリズムがアントネラさんに失神チャレンジを促したという証拠はなかったと報告したことで、上級幹部は安心したという。
幹部らは失神チャレンジがティックトック上で「決してトレンドではなかった」と記者らに伝え、ユーザーは「ティックトック以外の情報源」からこの遊びについて知識を得ていたと説明。ティックトックを悲劇から遠ざけるための危機管理戦略が提案され、アントネラさんの死は業界全体の問題として捉えられた。