「名著で現代を読む」人気番組の企画の裏側を番組プロデューサーが特別公開!

秋満吉彦(あきみつ・よしひこ)/「100分de名著」プロデューサー。1965年生まれ。熊本大学大学院修了後、1990年に日本放送協会(NHK)に入局し、「BSマンガ夜話」「日曜美術館」などを担当。2014年NHKエデュケーショナルに異動して「100分de名著」を担当。(撮影:梅谷秀司)
古典のヒットの火付け役として近年影響力を強めているのが、2011年からスタートしたNHKの教養番組「100分de名著」だ。番組が重視するのが、名著を通じて今の問題に斬り込むこと。プロデューサーの秋満吉彦氏に、「問題解決のための古典の読み方」を聞いた。
「100分de名著」というと世界に冠たる古典を解説していく番組という印象を抱くかもしれない。ただ2014年に私がプロデューサーに就任したときから意識しているのは、名著を通じて今の問題に斬り込むこと。そのため、「名著は現代を読む教科書である」というキャッチフレーズを作った。
番組の企画が走り始めるのは、放送より平均して8カ月ほど前。すると放送の1年前にはネタを仕込むことになる。そんなに先の世の中を読んで企画するのはいかにも難しそうだが、名著が扱うテーマは実に普遍的なものだ。
作家や哲学者が当時の現実と向き合い、もがきながら書いている。だから1年前に仕込んだ企画でも、放送する頃には扱う問題がより成熟、深刻化しているということもある。
「企画を生み出すために古典を読みまくっているんですよね」とよく聞かれるが、日頃アンテナを張っているのはむしろ今起きているニュースだ。街を歩き、流行を追う中で、「今起きているこの問題は、以前読んだこの本とつながるのではないか」と思いつくところから大方の企画は始まる。
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