有料会員限定

幼稚園児が「論語」をスラスラ音読、驚き古典教育 いずみ幼稚園が「石井式国語教育」を導入する訳

✎ 1〜 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20
拡大
縮小

「漢字はかなより易しい」というコンセプトのもと、漢文や古文を音読する足立区のいずみ幼稚園。まだ内容を十分理解できない園児が、古典に触れる意義とは。

教室で『論語』を音読する園児たちと先生
いずみ幼稚園年長組では、先生の指し棒に沿って園児が『論語』の一文を音読していた(撮影:今井康一)

特集「武器としての名著」の他の記事を読む

「子曰(いわ)く、故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知らば、以(もっ)て師と為(な)すべし」。

教室の前に貼り出された『論語』の文を先生が指し棒で示すと、園児たちがスラスラと元気いっぱいに読み上げていく。文章は訓点を付したのみで、ふりがなはないが、園児たちは自信たっぷりで迷いがない。楽しい遊びの延長線上にあるようにも見える。

ここは東京都足立区の私立・東京いずみ幼稚園。教育学博士・石井勲氏が提唱した「石井式国語教育」をカリキュラムに取り入れ、幼児にとって「漢字はかなより易しい」という考えの下、漢字かな交じり文を用いた言語教育を実践している。

ゲーム感覚で古典を覚える

取材時は「名文の一斉読み」として、年中組で松尾芭蕉の『奥の細道』、年長組で高村光太郎の『道程』を音読していた。

年長クラスで行われていた、百人一首のフラッシュカード。先生が下の句を出した瞬間、園児たちは声をそろえて上の句を暗唱してみせた。(撮影:今井康一)

ほかにも百人一首や四字熟語、ことわざなどの暗唱に取り組む。短い文章はフラッシュカードやかるたを使い、ゲーム感覚で覚えていく。

同園が石井式国語教育を取り入れたのは約40年前。小泉敏男園長はかつて学習塾で中学生らを指導した際、語彙力に乏しく、自分の考えを言葉に出せない子どもたちを目の当たりにした。

次ページまねをしていれば自然と身に付く
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
武器としての名著
戦争、疫病、民主主義…古典から読み解く明日
「カラマーゾフの兄弟」で読むウクライナ戦争
軍事評論家の小泉悠氏に聞く「戦争を読む古典」
「わかった気」になる解説・入門書にはご注意
「小右記」の平安時代、神頼みと科学的対策が並立
1位は169万部!累計発行部数ランキング公開
仕事でミスした夜、救ってくれたダンテの言葉
「ファスト教養」著者のレジーに聞く教養の行末
読書で挫折する前に試したい最強の入門ツール
「儒教・仏典・武士道」の日本で必要とされた知性
冨山和彦が「君主論」に見る組織経営の神髄
星野リゾート星野代表が語る「国富論」の重要性
元法政大総長、田中優子氏が読む「日本永代蔵」
ユーグレナ出雲社長が語る中国古典の魅力
経営でも取り入れられる「信賞必罰」の真意とは
日立の川村隆元会長は「言志四録」を実践した
パンデミックから人生まで8つのテーマで紹介
いずみ幼稚園が「石井式国語教育」を導入する訳
鉄則はいきなり「分厚い本」を手に取らないこと
オルテガの言う「最悪の大衆」は私たちのことだ
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内