目黒雅叙園「売買交渉の長期化」を招いた複数要因 売却額は下馬評の「2000億円を下回る」の見方も

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複合施設「目黒雅叙園」の売買交渉が長期化している。入札社数が振るわなかっただけでなく、アマゾンジャパンなど中核テナントが移転を検討していたことも、その背景にはある。売買交渉の行く末は不透明だ。

好立地にもかかわらず、売却交渉が長引く複合施設「目黒雅叙園」(記者撮影)

「当初の想定よりも、売買交渉が長引いているようだ」ーー。複合施設「目黒雅叙園」(東京都目黒区)の現状について、複数の不動産業界関係者はそう口にする。

雅叙園は、目黒駅から徒歩3分程度の好立地に構える。敷地面積は約3.7万平方メートルで、オフィスビルやホテル、結婚式場など計5棟の建物で構成される。過去に何度も売買が繰り返され、現在はSPC(特別目的会社)経由で中国の政府系ファンド、チャイナ・インベストメント・コーポレーション(CIC)が保有する。

複数の業界関係者によれば、雅叙園を売却する方針を固めたCICは、事業者を募り入札を実施。結果、2022年10月にカナダを拠点とする大手投資ファンドのブルックフィールドが、雅叙園の優先交渉権を得た。

ところが、「売買契約は年内にまとまらないのではないか」(不動産企業のベテラン社員)との声が上がる。CICが当初想定していた売却額に達していないためだ。ブルックフィールドの提示した買収金額は1800億円規模とみられ、これは下馬評である2000億円規模の売却金額を大きく下回っている。

「札を入れたのはわずか3社」

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