【コロナ後遺症】軽視は禁物「慢性疲労」招く事も 感染しなくても起こる「コロナ疲労」にも要注意

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「コロナ後遺症についての治療法については、世界中でさまざまな研究や大規模な臨床試験も行われているため、新たな治療法が確立するのではないかと期待しています」(中富さん)

家族や周囲の理解が重要で、それによって不安やストレスが軽減できることもある。仕事先の理解に関していえば、会社の人事や産業医に相談し、就業への配慮や休養の必要性について検討してもらうことも大事だ。診断書の提出が必要になることもあるだろう。

コロナ後遺症で注意しなければならないのが、慢性疲労症候群やコロナ疲労だ。

コロナ後遺症から慢性疲労症候群に

中富さんはコロナ後遺症による疲労や倦怠感を訴えて来院する患者をこれまでに100人あまり診ている。その多くが、コロナ後遺症から慢性疲労症候群になってしまった人たちだ。

慢性疲労症候群とは、風邪などの感染症や、ストレスなどをきっかけに発症する原因不明の病態で、患者数は推定30万人、さらに慢性疲労症候群の診断基準を満たさない、より原因不明な慢性疲労である『特発性慢性疲労』は、200万〜300万人存在するといわれる。

慢性疲労症候群の明確な治療法はいまだ見つかっていない。十数年単位で疲労が蓄積される、病的な疲労である過労から回復できず、QOL(生活の質)を著しく落とし、日常生活を送るのが困難になっている人も多い。

「慢性疲労症候群は、1980年代にアメリカで集団発生しました。それ以降、感染症を想定してさまざまなウイルスが候補に上がりましたが、特定のウイルスで起こるというところまでの解明はできていませんでした」と中富さんは話す。

今回のコロナの感染拡大で、慢性疲労症候群に移行する患者が数多く存在しているということがわかりつつあり、特定のウイルス関与が初めて疑われているという。「慢性疲労症候群のような重度な病態にならないよう、コロナ後遺症をあなどらず、早急に対処していかなくてはなりません」(中富さん)

続いて、コロナ疲労をみていこう。

コロナに感染していなくても、コロナ禍におけるストレスで疲労を蓄積している人は多い。内閣府が2021年4月〜5月に実施したインターネットによる約1万人の意識調査では、コロナ疲れを感じると回答した人が7割を超えた。

内訳を見ると、全体で「感じる」が33.7%、「やや感じる」が37.9%。年代別では20代の「感じる」41.3%が最多。「やや感じる」の33.5%と合わせて74.8%だった。(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

(引用)内閣府『第3回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』(令和3年6月4日)より
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