ファミマが仕掛ける「ココストア買収」の意味 コンビニ大再編の火ぶたは切って落とされた

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ココストアは競合他社が続々とコンビニ形態に進出する中で、いくつかの取り組みを行った。その一つは、中食の強化だった。中食とは持ち帰り用の調理済食品だ。スーパーやコンビニでは、調理済食品を販売する。そのなかでもココストアは、中食の「できたて感」にこだわった。1994年に店内厨房設置をはじめ、1995年ごろから本格的に店内調理商品を提供し始めた。

店舗によっては1日3回のできたて弁当を用意した。1990年代からコンビニ間の競争が激化するなかでの武器だった。調理スタッフの人件費がかさむデメリットはもちろんあったものの、業界全体の成長局面では、それに余りある売り上げ増をもたらした。1997年にはココグルメと呼ぶ業態で弁当を強化する品揃えで勝負した。

1999年には焼き立てパンの提供も検討しはじめる。コトブキヤコンビニエンスシステムズへ焼き立てパンの技術指導を申し入れたことをきっかけに、両社は生き残り策として、業務提携を開始。その後、ココストアは循環型社会への施策として、酒を計り売りすることで、資源使用量を減らす取り組みなどを行った。

2012年にはミニストップと業務提携し、共同調達や共同開発を開始した。トップバリュを導入したり、ナショナルブランド商品も共通化したりした。トップバリュ商品は販売増の傾向にあった。ただ、できたて販売の時間帯を細かく管理したり、できあがる時間帯を広告したりしたものの、起爆剤にはならなかった。2000年代からは全体的に伸び悩み、近年では低迷し、ファミリーマートの買収提案を受けていることは書いたとおりだ。

ココストアの競争力はなぜ低下したのか

ココストアが競争力を低下させた要因について、3つの問題点を指摘しておく。まずは、ココストアが酒屋をベースにするため、1990年代後半であっても、24時間営業が難しい地域が多数あったことだ。他のコンビニが24時間営業を通常とするのに対して、ココストアの標準は朝6時から、深夜12時までだった。

いつも店が開いていることが利便性のひとつであるコンビニにおいて、これは不利に働いた。かつては、店舗が支払うロイヤルティーが大手の3分の1程度とされ、”ゆるやかな”チェーン展開だったココストアは、店舗当たり1日売上高も大手には及ばなくなった。

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