日経平均上昇でも12月中旬には利確を勧めるワケ 目先は最大2万9000円台の回復も視野に入った
悲観に傾きすぎていたマーケットは、想定通り4つの悪材料をある程度織り込んできたといえる。とくに前出の【2】であげたうち、①の欧米のインフレに伴う金融引き締めと②英国をめぐる懸念は、ポジティブサプライズとなった。
①は注目の11月1~2日のFOMCで12月以降の利上げペースダウンが見込まれていたところに、10日発表の10月CPI(消費者物価指数)の結果が市場予想を大きく下回る「逆CPIショック」となったためだ。
この結果、アメリカの市場は、債券(金利低下)・為替(ドル安)・株式(株高)ともに大きく反応。想定通り、引き締め速度(0.75%連続4回の利上げ)の減速期待がマーケットで高まっている(次回12月13~14日のFOMCでは0.5%の利上げが有力)。
②も私の想定通り、10月20日のリズ・トラス首相の辞任表明によってマーケットは落ち着きを取り戻した。大型減税などの経済政策が市場に動揺を与え、保守党内からも反発の声が上がった結果、実質的な在任期間は史上最短のわずか45日だった。
中国共産党大会・アメリカの中間選挙も想定内だった
また、中国の今年最大のイベントだった共産党大会(10月16~22日)も事前のマーケットコンセンサスどおりに通過、同国をとりまく不透明感がいったん払拭されていたことも大きかった。習近平国家主席が、従来の慣例を破り、党トップの総書記として3期目(1期5年)を担うこととなり、長期政権入りが確定したからだ。
党最高指導部「常務委員」(7人)のうち、6人を「習派」で占める(2017年は3人、2012年は2人)ことで「習近平1強」が色濃くなり、権力集中が加速することが確認された。
さらに11月8日のアメリカ中間選挙も、市場予想の想定内でサプライズはなかった。
下院は野党である共和党が過半数を獲得したが、市場は与党民主党の下院敗北についてはある程度織り込み済みだった。今後、民主党は、上院は僅差で勝利したものの、下院の敗北で議会が「ねじれ」となることで、法案を通しにくくなりそうだ。ただ、財政政策進展の遅れは逆に金利低下・ドル安の要因となり、短期的には同国などのグロース株には追い風となっている。
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