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「専門職エリート」が現代の「支配階級」である理由 「保守」サイドからの「アメリカ階級社会」批判

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  • 井上 弘貴 神戸大学大学院国際文化学研究科 教授
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いずれにしても、これまでも一貫してリバタリアニズムから距離を置く議論をしてきたリンドは、グローバルエリートが主人公であるマーケットを礼賛しない主張を保守の側から組み立てようとしている。多様性を旗印にしつつ、実際にはグローバルエリートが支配を強めているビジネスの世界は、もはや保守の味方ではない。そのように考える保守が今、欧米では確実に増え始めており、リンドもその1人である。

その意味で近年のアメリカ保守の再編の動きと重ね合わせれば、『ナショナリズムの美徳』を書いたヨラム・ハゾニーら、ナショナル・コンサーヴァティズム(国民保守主義)の問題関心とも合流していく部分がリンドには多々ある。

実際に今年2022年の9月、フロリダ州マイアミで開かれたナショナル・コンサーヴァティズムの会合に、リンドは講演者の1人として参加しており、かれらは相互に連携を深めている。

果たしてアメリカの保守思想の潮目は変わったのか。アメリカ政治の思想面での動向、とくにアメリカの保守思想の今後について考えたい方は、『新しい階級闘争』にくわえてハゾニーの『ナショナリズムの美徳』をあらためて読むことで見えてくるものがあるかもしれない。

日本はオルタナティヴなのか

欧米の読者を想定しているリンドは、『新しい階級闘争』のエピローグのところで、新自由主義を欧米ほどに受け入れていないオルタナティヴな方向にある国として、韓国や台湾とならんで日本を挙げている。

われわれからすれば、日本は十分に新自由主義を受け入れてきたようにも思えるものの、リンドからすればそうではないようだ。

リンドのこうした認識は議論の余地があるだろうが、新自由主義とは異なる社会の方向性を考える際に、われわれに多少なりとも地の利があればと思うところである。

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