ふかわさん「ひとりで生きると決めたんだ」の真意 “ひとり"であって、独りじゃない生き方が理想

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――ふかわさんのお知り合いで、「ひとりで生きる自信が持てたから結婚した」という方がいた、と著書にありました。「『ひとり』と『結婚』は両立するのだ」とおっしゃっていて、なるほどと思いましたね。

夫婦になろうが、家族になろうが、「人は基本的にひとりなんだ」という意識で生きれば、お互い頼りすぎたり、多くを求めすぎたりして、歪みが生まれることもなくなります。

ひとりで生きる者同士が一緒になれば、お互いにとってちょうどいい支え合いができる。

僕の場合で言うと、「皆と一緒に心地よく生きていきたいから、ひとりで生きると決めたんだ」といった感じでしょうか。あくまで“ひとり”であって、独りではない生き方です。

――多くの人間関係が崩れる原因は、「自分と相手との境界線を越えてしまう」ことにあるのではないかと感じます。

そうですね。相手との亀裂や軋轢は、それぞれが互いに求めすぎることによって起きてしまうと僕も思います。

人間関係においては、「温かさを帯びたクールさ」が必要ではないでしょうか。ちょっと例えが違うかもしれませんが、「東京の人間は隣近所の人の顔もわからないし、周りに対して干渉しないから冷たい」などと言われていた時期がありましたよね。

でも、干渉されないことで助かることって、いっぱいあると思うんです。実は「過干渉」が、一番怖いんじゃないかと思うほどです。

生涯未婚率が取り上げられるうちはまだまだ

――2020年の国勢調査によると、男性の生涯未婚率(50歳時未婚率)が25.7%、女性が16.4%で過去最高を更新したとニュースで大きく取り上げられました。「男性の4人に1人が生涯独身」などと話題に出ましたが、そうした報道も余計なお世話だと捉える人も多そうですね。

国の調査として推移を見ていくのはいいと思うのですが、まるでコロナの陽性者の人数を発表するかのように、「未婚者がこんなにいます。だから減らしましょう」みたいな空気感を醸し出すのはよくないなって思います。

(撮影:今井康一)

生物として種を残すという価値観は、ゆるぎないものとしてあると思うんですけど、だからといって、「皆結婚しましょう。子どもを産みましょう、増やしましょう」という圧は、必ずどこかに暗い影を落とします。

皆のために“よかれ”と思って言っていることって、実は誰かの心の負担になっていることもあります。生涯未婚率がニュースで大々的に取り上げられるうちは、まだまだだと思います。

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