これまで知られている乳がんの危険因子としては、初経年齢の早さ、出産経験がない(少ない)、初産年齢の遅さ(30歳以上)、閉経が遅いことなどがあげられます。正確な因果関係はわかりませんが、閉経後の乳がんに関しては身長の高い人ほど乳がんリスクが高いことも知られています。日常の活動性が高い人(運動以外にも、散歩、ハイキング、庭いじりなど)は閉経後の乳がんのリスクが減少します。またアルコール摂取量が1日あたり10g増加するにつれて、乳がんのリスクが6%ずつ上昇することが示されています。
睡眠6時間以下は「乳がん」リスクが2倍
睡眠不足は様々な健康被害をもたらしますが、がんの発症も例外ではありません。乳がん、前立腺がん、甲状腺がんなど、さまざまな種類のがんのリスクが、乱れた質の悪い睡眠と関連していることが、研究により明らかになっています。
また、睡眠の乱れは、がんをより攻撃的にする一因であると考えられています。睡眠はサーカディアンリズム(概日リズム)という細胞に備わっている特有の時計でコントロールされています。サーカディアンリズムの乱れがなければ、人は毎日大体決まった時間に眠たくなり、決まった時間に起床します。サーカディアンリズムは、睡眠と覚醒のサイクルだけでなく、消化、免疫機能、ホルモン生成など、私たちの身体の基本的なプロセスの多くをコントロールしています。
このサーカディアンリズムを乱す代表的なものに夜勤があります。医師、看護師や食品などの生産ラインでの勤務では、本来睡眠しているはずの時間帯に照明を浴び続けることになります。看護師の健康調査を扱った研究では、夜勤で夜にライトを浴びている人は進行乳がんのリスクが上昇することが報告されています。世界保健機関(WHO)の一機関である国際がん研究機関(IARC)は、「概日リズムの乱れを伴う交代勤務は、ヒトに対しておそらく発がん性がある」としています。
日本人女性のデータで、睡眠時間平均6時間以下の人は8時間睡眠をとっている人と比べて乳がんリスクが1.98倍にも上ります。睡眠不足は肥満の原因にもなりますので、規則正しい睡眠習慣をもつことは乳がん予防には重要なのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら